下小代駅から南に進んで、板荷駅や新鹿沼駅なども東武日光駅管区。ただ、今回の旅は日光市内の下小代駅までにして、続きは今後の楽しみに取っておくことにしよう。なにしろ、下今市駅より南側は昼間も1時間に1本しか列車がやってこないのである。

「やっぱり、東武日光駅というといまはSLですよね。実は、JRの日光駅とはとても仲がいいんです。SLが通るときにはJR日光駅のみなさんがホームに出て手を振ってくれたり、逆に(JRのクルーズトレイン)四季島が来るときには私たちも横断幕を持ってお出迎えをしたり」(阿久津管区長)

首都圏から日光へのアクセスでは、東武鉄道と旧国鉄がしのぎを削った……などという言葉では足りないほど熾烈な旅客争奪戦を繰り広げた歴史がある。1959年に国鉄の日光線が電化された際には、スピードアップで東武に対抗するべく“日光形”と呼ばれた新型車両157系を投入したのは有名な話だ。

かつてのライバルが応援してくれる

ただ、そんなライバル関係もいまや昔話になり、2006年からはJRから東武に乗り入れる直通特急「日光」「きぬがわ」「スペーシアきぬがわ」の運転も始まった。そして同じ日光の町の“仲間”として、2つの日光駅はともに手を取り合って盛り上げる。

東武日光駅はいまも昔も東武特急の最大の目的地だ(撮影:鼠入昌史)

「SL運転開始から5周年にあたって、協力してくれた地元の方々を表彰したときには、もちろんJR日光駅さんも表彰させていただきました。JRで日光に来られた方も、東武で来た方と同じく日光に来られたお客さま、ですからね」(阿久津管区長)

旅の目的も行き先も多様化しているこのご時世、修学旅行で訪れた記憶はあってもそれ以来なかなか日光に行く機会がない、という人も多くなっているのではないだろうか。でも、いまの日光には定番の東照宮や中禅寺湖だけでなく、SLもある。SLに乗って、日光の町を歩いて、そしてそのついでに、見過ごされがちな小さな無人駅にも気の向くままに降りてみる。そんな時間を贅沢に使った旅をしてみてはいかがだろうか。

著者:鼠入 昌史