9月2日以降、ドル円は140円台が定着している。9月13日に日銀が公表した8月の「企業物価指数」では、輸入物価(円建て)の上昇率が前年比42.5%で、その要因は現地通貨建てが同21.7%ポイント、為替が円安に振れたことによる分が同20.8%ポイントとなった。為替要因が輸入インフレの約半分を占める。

足元の円安傾向を考慮すると、9月分では為替要因が主因となる可能性が高い。円安傾向が止まるまではコストプッシュ型のインフレが継続することが予想される。

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政府や日銀はインフレの主因は現地通貨建ての原材料価格の上昇にあるとし、直接的な円安への対応は行ってこなかったが、足元でウクライナ戦争やコロナ禍のサプライチェーン問題による物価の押し上げ効果が和らぐ中で状況が変わってきた。

消費者物価に占める「為替要因」を把握する

もっとも重要な物価指標は、日銀も金融政策の目標にしている消費者物価指数(CPI)である。特に、生鮮食品の影響を除いたCPIコアが注目される。

前述した輸入物価は「円ベース」と「契約通貨ベース」が明示的に示されるため、「為替要因」が占める割合がすぐにわかる。しかし、CPIがどの程度「為替要因」によって動いているのかは明らかではない。円安の影響は幅広い品目に対して一定の時間をかけて波及していくことが予想され、正確に分解することは不可能である。

筆者はかねて、CPIコアの品目別データに対し主成分分析を適用し、それぞれの品目に広く薄く影響する分も含めて、「円安要因」や「輸入物価(現地通貨ベース)要因」を特定する分析を行ってきた。東洋経済オンラインの2016年1月のコラム「精緻に分析すれば、日本はまだデフレである」でもこの手法を取り上げている。今回のコラムでも同様の手法を用いて「為替要因」がCPIコアをどの程度押し上げているのかを分析した。