「結婚こそが女性の幸せ」

このような言葉を一度は聞いたことがあるとは思うが、本当なのか。

野村総合研究所(NRI)が3年に1度、全国の1万人に対して実施している「生活者1万人アンケート調査」(2021年が直近の調査)では、幸福度として「非常に幸福」を10点、「非常に不幸」を0点としたときの11段階で調査しており、既婚者・未婚者における幸福度の比較を行った。

たとえば女性40代では幸福度は2021年調査では既婚者で7.4、未婚者で6.5となっており、確かに既婚者のほうが幸福度は高い。女性の30代や50代でも同様の傾向を示しており、既婚者・未婚者間ではやはり既婚者のほうが幸せに感じる傾向が強そうだ。

ただし、女性40代未婚者の幸福度平均値は、2009年では6.1だったものが2018年では6.3、2021年では6.5に上がっており、未婚者側の幸福度上昇は高い。女性の30代や50代でも同様の傾向を示している。あえて結婚を選択しない人が増えていることが、未婚者側の幸福度上昇にもつながっていると考えられる。

日本の「標準世帯」の概念が変わる

「生活者1万人アンケート調査」で調査している家族観に関する項目の1つに、「できることならば結婚したほうがよい」がある。この項目について2015年以降の直近6年間の変化を見ると、男女とも結婚したほうがよいとする価値観から脱却する傾向を見せていた。とくに女性においてはその傾向が強い。

2018年調査では40代までを中心に、結婚したほうがよいとする価値観が大きく減少していたが、2021年調査では60代まで含めて結婚したほうがよいとする価値観は減少しており、全世代において多様な生き方を尊重する価値観が増している。

結婚するのが当たり前、という従来の家族観について、自分たち親世帯の見方が変わってくることで、ますます子ども自身の結婚観にも大きな影響を及ぼすことになるだろう。結婚を選ばない人が増えることによるマイナス影響は国としては大きいが、不可逆的な変化として今後も浸透していくことが想定される。

そして従来、日本の「標準世帯」とは、「夫が働いて収入を得、妻が専業主婦、かつ子どもが2人いる」といったモデルケースが想定されているのだが、こうした夫婦と子世帯のほうがマイナーな世帯となっていくのだろう。

著者:林 裕之