「道路に塗るだけで、自動運転車のレール的な役割をする特殊塗料」というものをご存じだろうか?

塗料大手の日本ペイントホールディングス傘下である日本ペイント・インダストリアルコーティングスが開発した「ターゲットラインペイント」は、自動運転車の目として障害物などを検知するセンサー「LiDAR(ライダー)」が認識できるという特殊塗料だ。自動運転車の走行ルート上にある道路に塗装するだけで、自動運転用のインフラ整備が可能となり、導入コストやメンテナンスコストの削減が見込めるなど、さまざまなメリットを生むという。

同社が2020年頃から開発を進めてきたこの特殊塗料が2022年9月6日より、慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス内(神奈川県藤沢市)で運行している、自動運転シャトルバスの循環ルート上に導入されることとなった。慶應義塾大学SFC研究所と神奈川中央交通が共同で実施する実証実験に使用することで、将来的なレベル4(限定区域内での完全自動運転)実現に向けた技術開発などに寄与することが目的だ。

果たして、この特殊塗料は、実際に道路に塗るだけで自動運転車の運行や安全性などに、どれほど役立つのだろうか。導入初日に実施された、報道関係者向け試乗会に参加してきたのでレポートしよう。

実証実験が行われている場所

大学構内にある道路に塗装されたターゲットラインペイント(筆者撮影)

今回、ターゲットラインペイントが実施されたのは、2022年5月9日より、同キャンパス内で運行を開始した‪循環シャトルバス「鴨池急行 SoKanKan」‬の走行ルート上だ。学内の研究者や学生の移動用として運行している同バスは、公道0.9km、大学構内1.3kmの約2.2kmを循環しているが、ターゲットラインペイントが施されたのは大学構内にある道路上。塗料には、アスファルトと同化する色を使っているため、ぱっと見はどこにあるのかわかりにくい。だが、よく目を凝らして路面を見ると、車線内のほぼ中央付近に2本の破線が一定間隔で塗られていることがわかる。