サイバー空間が陸、海、空、宇宙に次ぐ「第5の戦場」と言われて久しい。

ロシアによるウクライナ侵略では、フェイクニュースが新たな弾丸となり、ネット空間を飛び交い、空前の規模の「デジタル戦争」の様相を呈している。スマートフォンの画面が主な戦場となり、情報戦を通じて民意を操る「認知戦」が繰り広げられている。その「認知領域」は今では「第6の戦場」とも言われる。

一方、サイバーセキュリティをめぐる日本の対応は、欧米の主要国のみならず、中国、北朝鮮、ロシアと比べても大きく後れを取っている。自衛隊のサイバー防衛隊は540人規模にとどまっている。

サイバー攻撃が深刻さを増す中、政府や日本企業はどのようなセキュリティ対策を取ればいいのか。

元陸上自衛隊通信学校長で富士通システム統合研究所安全保障研究所主席研究員の田中達浩氏に話を聞いた。

田中氏は、デジタル時代のサイバーインフラ強化の必要性を指摘。そのために省庁の縦割りの弊害をなくし、より統合的なサイバー防衛体制を構築するために「サイバー省」の新設を訴える。

あらゆる活動がインターネット空間に乗っかっている

――今回のウクライナ戦争では、改めて「サイバー空間」、そして「認知戦」の重要性が認識されました。どのように受け止めていますか。

そもそも情報化時代が到来し、デジタル化が進んでいるということが大きなポイントだ。デジタル化で何が変わってきたのかを最初に気づかなくてはいけない。

1つには、私たちは物理的に例えば顔は顔、手は手とわかるが、実際にそれらをデジタル化してデバイスの上に乗せたときには、すべて0101(ゼロイチゼロイチ)で表されている。色も光の三原則でどうにでも加工できる。