金子慎JR東海社長は9月13日、川勝平太知事の「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会」加入を機にリニア静岡工区の早期着工を要望するとともに、最近の川勝発言に事実誤認が多いことから直接、是正を試みる目的で静岡県庁を訪問した。

約1時間15分の面談は非公開で、その後、両者の囲み取材で面談の中身を確認したが、お互いの主張の食い違いだけが目立ち、金子社長が要望したJR東海への歩み寄りを川勝知事は一切、拒否した。

金子社長は川勝知事の「期成同盟会」加入に期待を寄せたが、実際は、川勝知事が“獅子身中の虫”という内部の者でありながら組織に危害を与える厄介者になったことをJR東海が分析できずに面談を申し込み、大失敗した。

金子社長の要望に川勝知事は応じず

JR東海は9月8日、急きょ知事との面談を申し込んだ。ところが、翌日の9日、川勝知事は、「期成同盟会」会長の大村秀章・愛知県知事宛てに、リニア神奈川県駅建設現場近くの「関東車両基地」用地取得がまったく進んでおらず、危機的な状況だとする報告書を送付した。大村知事だけでなく「期成同盟会」全知事に送った報告書(写し)が静岡県の公式見解となり、金子社長がいまさら是正を試みても、川勝知事が応じるはずはなかった。

その2日前の9月7日、リニア実験線の稼働する山梨県と隣接する神奈川県駅(相模原市)までの「部分開業」が可能かどうかを確認するために、川勝知事は藤野トンネルと神奈川県駅の2つの建設現場を視察した。

移動の途中で“偶然”関東車両基地の現場を通ったところ、「(整備予定地の)道の両側に数多くの人家があり、地域住民が普通の生活をしていたことから、(関東車両基地)用地取得が滞っている」(報告書)“事実”に驚いたのだという。

関東車両基地の計画では、神奈川県駅の西側に敷地面積約50ヘクタールに幅350m、長さ2km、高さ30mというリニア運行に欠かせない広大な施設を建設する。しかし、2013年夏に関東車両基地計画が公表されて以来、一部の地元住民らが自然環境保全を訴えて、土地収用などに抵抗するリニア反対運動を繰り広げている。