その結果、2014年初めから2019年末まで、つまり新型コロナウイルス感染症が経済を直撃する前まで、GDPはかろうじて年率0.2%ペースで成長したに過ぎなかった。これは、安倍元首相が約束したペースのわずか10分の1に過ぎない。

もちろん、GDPの成長は、生活水準の向上という目的を測るためのツールに過ぎない。安倍元首相のもとではその逆が起きた。生活水準が1990年代から下がり続けるなかでバトンを引き継いだ安倍首相は状況をさらに悪化させたのである。

正規労働者の場合、2012年から2019年にかけて、実質時給は5%近く減少した。また、この間、雇用の増加分のうち82%が低賃金の非正規雇用であった。その結果、2020年時点で、正社員の平均時給が2500円であるのに対し、派遣社員は1660円、パートタイマーは1050円と、さらに賃金が低下しているのだ。安倍元首相の対応は、企業に賃上げを求めるというむなしいものであった。

高齢者向けの社会保障も削減

真の成果を得るには、日本においても、男女間、正規・非正規間の同一労働同一賃金を定める法律を施行し、労働省に法律違反の調査・起訴を義務付けることもできたはずだ。しかし、安倍元首相はそうしないことを選んだ。

同時に、安倍元首相は2000年以降、高齢者向け社会保障への政府支出を削減する傾向を続けている。彼の在任中に、高齢者1人当たりの老齢年金はさらに9%減少した。

また、国民所得を国民から企業へ分配する政策を続け、企業の最高法人税を38%から30%に引き下げる一方、消費税は10%に倍増させた。

(注)2019年秋の増税の影響は、新型コロナウイルス感染症により消費が大きく落ち込み、また12兆円の政府による現金配布により家計所得が約4%上昇したため、2020年の数値にはまだ表われていない (出所:国税庁、内閣府)