鎖国時代、日本で唯一西欧に開かれた窓口だった出島を通じて貿易で栄えた長崎。今も異国情緒の漂うこの街に9月23日、ついに新幹線が開業した。

西九州新幹線の長崎発1番列車は、6時17分発の「かもめ2号」。1カ月前に発売開始した指定席券はわずか10秒で売り切れた。白いボディの真新しい列車の側面に光る行先表示は「博多」。自然光を通しやすい「膜屋根」を新幹線で初めて採用したという駅ホームの発車案内板にも「新鳥栖・博多方面」の文字が見える。

だが、この新幹線「かもめ」の本当の終点は博多ではなく、長崎から所要時間30分足らずの武雄温泉駅(佐賀県武雄市)だ。その先、博多方面へは同じホームの向かい側に停まる在来線特急「リレーかもめ」に乗り換えとなる。長崎県は離島の数が日本一多いことで知られるが、西九州新幹線も「離れ小島」の新幹線だからだ。

異例の短距離新幹線

西九州新幹線は、今から約半世紀前の1973年に「整備計画」が決定された、福岡市―長崎市間の「九州新幹線西九州(長崎)ルート」のうち、長崎―武雄温泉間約66kmの路線を指す名称。博多―鹿児島中央間の九州新幹線をはじめとするほかの新幹線にはつながっていない独立した路線で、現在のところ全国で最も路線の短い新幹線だ。

新幹線「かもめ」と連絡する在来線特急「リレーかもめ」を乗り継いでの博多―長崎間の所要時間は最速で約1時間20分。従来の特急「かもめ」と比べて約30分の短縮となるが、これまでが直通だったのに対し、同じホーム上ではあるものの乗り換えが必要になる。

異例ともいえる離れ小島の新幹線は、どのような経緯で誕生したのだろうか。