9月20日、オミクロン株対応ワクチン接種が始まった。患者さんからは「いつ、どのワクチンを打てばいいのでしょうか」と聞かれることが増えた。

現在、わが国では従来型(武漢型)ワクチンと、オミクロン株BA.1/BA.2対応ワクチンが利用可能だ。後者については、まだ十分に量が流通しておらず、政府は、重症化リスクの高い高齢者や医療従事者のうち、4回目接種を終えていない人から打ち始め、その後、対象を拡大する方針という。

従来型ワクチンかオミクロン株対応ワクチンか

待っていれば、誰もがオミクロン株対応ワクチンを打つことができそうだ。そうなれば、いますぐ従来型ワクチンを打つべきか、あるいはオミクロン株対応ワクチンを待つべきか選択を迫られることになる。本稿では、オミクロン株感染を予防するための追加接種のあり方について論じたい。

結論から言おう。冒頭にご紹介したような質問を受けた場合、私は「すでに複数回の接種を終えているのであれば、急いで打つ必要はない」と答えることにしている。それは、オミクロン株は弱毒で、すでに複数回の接種や実際に感染した経験があれば、たとえ高齢者やがん患者であっても、重症化するリスクは低いからだ。第7波の流行が収束しつつある現在、焦ってワクチンを打つ必要はない。

さらに、追加接種の時期を間違えれば、重症化予防はともかく、肝心要の真冬の流行期に感染を予防する効果が薄れてしまう。それは、コロナワクチンは、重症化予防効果は長期間維持されるが、感染予防効果は数カ月で減衰するからだ。

4月13日にイスラエルの研究チームが、アメリカの『ニューイングランド医学誌』に発表した研究は興味深い。彼らは、60歳以上の高齢者に4回接種を行ったところ、3回接種と比べ、接種後1カ月間の入院は68%、死亡は74%減少したが、感染は45%しか減らず、接種後2カ月までに、その効果は10%まで低下したと報告している。コロナワクチンの追加接種は重症化予防には有効だが、感染予防効果はあまり期待できない。

では、重症化予防効果は、どれくらい続くのか。この点についても、データが蓄積しつつある。9月23日、アメリカ・シカゴ大学の研究チームがアメリカ医師会雑誌「JAMA(JAMA Network Open)」オンライン版に発表した研究によれば、3回目の追加接種をした人は、2回目接種者と比べて、入院リスクは接種後50日未満で76%、50〜100日で76%、101〜150日で53%、150日以上で28%低下していた。追加接種による重症化予防効果は3〜6カ月程度維持されそうだ。