支持率低下に悩んでいる韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が労働市場改革と福祉政策拡大に乗り出した。選挙公約の実現と支持率回復が主な狙いだ。2022年5月10日に就任した尹大統領の支持率は、2022年5月4週目以降低下し続け、8月1週目の調査では29.3%となり、30%を割り込んだ。

文在寅・前政権末期の支持率が40%を超えていたことと比べると、尹大統領の支持率低下の早さは異常だ。2022年8月2週目以降は支持率が少しずつ回復しているものの、まだ安心できる状態ではない。

「ねじれ国会」で手足縛られる

尹大統領の支持率が急落した主な理由として、①閣僚人事の失敗や側近の重用、②経済政策の不在、③経験不足などが指摘されている。しかし、検察畑を歩んできた尹大統領の政治家としての経験不足は大統領選挙の前から予想されていたことであり、就任初期から大きく活躍すると期待した人は少ないだろう。

そして、閣僚人事の失敗や側近の重用や経済政策の不在は、確かに支持率低下に影響を与えているものの朴槿恵・元大統領や文・前大統領など歴代政権でも同じことが指摘されており、閣僚人事の失敗や側近の重用や経済政策の不在は尹政権だけの問題ではないと言える。それにもかかわらず尹政権の支持率が低下したのは、上述した3つに加え、次の4つが考えられる

まず、「ねじれ国会」の状況だ。与党「国民の力」は2022年3月に行われた大統領選挙で政権交代に成功し、同年6月の地方選挙で圧勝した。しかし国政を左右する国会議員の数(総議員数300人)では、野党「共に民主党」が169人と過半数を超え、「国民の力」の115人を上回っている。

僅差で政権を奪われた野党「共に民主党」内には、いまだに選挙結果に対する悔しさが残っている。次の選挙では必ず政権を奪還するために、与党「国民の力」に対する政治的な攻撃を緩めていない。その結果、「国民の力」の改革は進まず、国民からは何も実現できない無能な政府に見えている可能性が高い。2024年4月に行われる総選挙で与党「国民の力」が勝利しないと、状況は大きく変わらないだろう。