物価の上昇が止まらない。しかし、値上げによる顧客離れを懸念し、なかなか大幅な値上げに踏み切れないのが現状だ。そんな中、「値上げはどんどんするべきだ」と説くのが、マーケティングのカリスマとして知られる小阪裕司氏だ。同氏によればむしろ、「安売りにこだわる企業のほうが危ない」という(本記事は『「価格上昇」時代のマーケティング』からの抜粋です)。

「安いことは良いことだ」という固定観念

コロナ禍によるサプライチェーンの断絶や戦争によるエネルギー問題などがあり、物価高が一気に顕在化した。それにより、本来は徐々に進行していた価格高騰の波が一気に押し寄せてきた。

とはいえ、多くの企業や店舗では、もはや値上げは不可避と思いつつ、なかなかそれに踏み切ることができない。それはなぜかというと、多くの人が「値上げは悪」という固定観念に縛られているからではないだろうか。

もちろん、安くできるならそのほうがいいだろう。しかし、いいものを提供するならば、その対価としてそれなりの金額をいただくことは、ビジネスの基本でもある。

なのに、なぜか「1円でも安くなくてはならない」という考えに縛られている人が非常に多いように感じる。特に小売業に属する人に、その傾向が強い。まずはこの「呪縛」から逃れられないと、価格上昇時代には生き残ることはできない。