只見線のホームには先行する列車が停車していた。ホームの中央では運行再開記念列車の出発式に向けて舞台の設営作業が進行中。ファンたちは先行列車、設営作業のどちらにも邪魔にならないよう、列を作った。乗車する列車は2両編成なのでドアは4つ。それに合わせて列も4カ所。ホームの人は増え、列はどんどん長くなる。

先行列車の出発後、5時45分に汽笛とともにお目当ての列車が入線。ホームにいた人たちが一斉にカメラを向けた。ドアが開くと乗客が次々と乗り込み、ボックスシートの座席はすべて埋まった。記者も席を確保できた。向かい側に座っている人は関西からやってきた。隣にいる人は地元の人だ。

立っている人も多い。2両で車両定員が200人強の列車は満員といってよい。でも、ぎゅうぎゅう詰めというほどではない。

全線開通を祝う車内放送とともに列車は6時08分に会津若松を出発した。車窓越しに見える空は澄み切った快晴、線路沿いでは列車に向かって手を振る人や「おかえり只見線」という横断幕を掲げる人の姿が見えた。時刻表どおりなら9時07分に只見に着く。終点の小出は10時41分着だ。

駅間で停車「不具合がありました」

塔寺を発車した後の6時55分頃、列車が駅間で停車した。「JR関係者がいらっしゃいましたら1両目にお越しください」という放送が入る。次いで6時58分、「車両の不具合がありました。これからエンジンを切るので室内灯が消灯します。ご理解をお願いします」という放送が入った。このあともたびたび車内放送があるのだが、首都圏の通勤電車でよくある”安全確認を行っています”というたぐいのわかりにくいアナウンスではない。状況を丁寧に説明していた。どんな内容だったか車内の様子とともに再録したい。

エンジン音と室内灯が消えた後、再度エンジンがかかり室内灯がともる。7時14分にもこの作業を行うという車内放送が繰り返され、7時29分にはこんな放送が流れた。「応急処置をしましたが、ブレーキが緩みません。原因を解決できず乗務員では対応できません。係員を手配して点検します。係員の到着まであと30分ほどかかる見込みです。ご質問のある方や体調不良の方がいらっしゃいましたら乗務員にお声がけください」。

車内がざわつき始めた。しかし、混乱はなく、座っていた男性がそばに立っていたシニアの男性に「お疲れでしょう」と席を譲るなど、マナーのよさがうかがえた。