年金制度が改正され、受給開始年齢を75歳まで繰り下げられるようになった。受給開始を遅らせれば遅らせるほど受け取る年金額が増えていくのだが、仮に75歳まで繰り下げると65歳からの10年間は年金をもらえない。この年金待機期間の生活費をどうするか。じつは、この間の生活費の手当ての仕方こそが、生涯にわたって受け取る年金の総額を最も多くする年金戦略を左右する重要なポイントといえる。社会保険労務士の増田豊氏の著書『結局、年金は何歳でもらうのが一番トクなのか』を一部引用・再編集のうえ、年金の総額を多くするコツを3回にわたって紹介する(今回は3回目)。

1回目:年金を一番トクにもらう「夫婦の年齢差の法則」

2回目:年金をおトクに受給する「平均寿命+12年の法則」

年金待機期間の生活費を制する者が年金を制す

年金は65歳からの受給開始が基本だが、自分の意思で65歳よりも前に受け取ることも65歳を過ぎてから受け取り始めることもできる。2022年4月の年金大改正では、受給開始年齢を75歳まで繰り下げることができるようになった。

しかも、受給開始を繰り下げると受け取る年金が増額され、1年繰り下げるごとに8.4%増え、70歳からの受給開始だと65歳で受け取る年金額の1.42倍(42%増)、75歳に繰り下げると1.84倍(84%増)となる。

この増額効果を「老齢基礎年金を満額で受け取る人」にあてはめて考えてみる。老齢基礎年金は2022年4月に満額だと月額6万4816円に改定され、年額約77万8000円を受け取れる。満額を受給できる人が1年間、受給を遅らせた場合を計算すると、「約77万8000円×1.084=約84万3000円」にもなる。