タイ国鉄(SRT)は2022年10月11日から31日までの間、JR北海道から導入した中古車両「キハ183」を用いた新しい観光列車の運行ルートに関するアイディアを公式Facebook上で募った。具体的な区間やアンケートのフォームはなく、フォロワーがコメント欄に思いつくままに書き込むスタイルで、10月末までに1000件近いコメントが寄せられた。31日以降も書き込み自体は可能で、この結果を素直に反映するとは思えないが、注目度の高さがうかがえる。

SRTは年内のキハ183の運行開始を目指し、整備と試運転を続けている。試運転の区間は、現在SRTが週末やシーズンに運転している観光列車のルートをほぼ踏襲しており、バンコクから日帰り可能な200km圏内を往復する観光列車としての運行を念頭に置いていることがわかる。

先般、その試運転列車に乗車する機会を得た。

タイの観光列車は大人気

タイは東南アジア一の観光立国であり、欧米系観光客を中心にタイ国鉄は人気が高く、観光列車は満席が常態化している。チケットを取れなかった観光客が一般列車に流れ込み、通勤列車並みの混雑になっていることもしばしばだ。しかし、予算の不足により一般列車を含めて本数は据え置かれたままである。

SRTの運賃は政府によって国策的に異常と言えるほど安く設定されており、健全な経営を妨げている。一方で、観光列車には特別運賃が設定されている。例えば、戦時中に旧日本軍が建設した旧泰緬鉄道区間を走るナムトック・サイヨーク・ノイ行きは、3等冷房車で往復120バーツ(約470円)、2等冷房車で240バーツ(約940円)と、一般列車の2〜3倍の運賃設定(タイ人運賃基準)だ。だが、観光列車も車両自体は一般列車と同じ非冷房・ボックス座席がほとんどである。味があってよいという見方もあるが、格落ち感は否めない。

ナムトク・フアヒン行きの観光列車の車内 現状のナムトック・サイヨーク・ノイ行きの観光列車の車内(3等)。非冷房のボックスシートで観光列車にしては物足りない(筆者撮影)

観光列車にグレードの高い車両を用いれば、さらに高い運賃設定が可能だ。そこで導入されたのがキハ183である。高い運賃を取れる車両を格安のコストで導入できるとなれば、SRTにとってこんなにうまい話はない。