結論から言うと、アメリカの株式市場は徐々に「金利騒ぎ」から脱却してきているように思う。

「金利騒ぎ」と書いたのは、市場は10月途中まで「インフレによる連銀の利上げ加速」というシナリオを、悲観方向に思い切り膨らませておびえていた面があったからだ。

そのため、CPI(消費者物価指数)の前年比の数値が低下しても「思ったほどは低下していない」とカラ騒ぎし、株価指数が極端に下落した局面(9月13日など)があった。

金利動向に対する過度の懸念が後退

また、これまで当コラムで述べたように、アメリカの個人投資家の心理や機関投資家の現金ポジションなどをデータで推し量ると、両者が歴史的な悲観(2001年のITバブル崩壊時以来とか、リーマンショック時以来、など)に陥っていたことがわかる。その悲観の背景は、金利動向に対する過度の懸念だった。

こうした市場の金利騒ぎは、解消する方向のようだ。もちろん、金利観の揺らぎがあっても株価がびくともしない、というわけではなく、ある程度の波乱は生じている。

例えば、FOMC(連邦公開市場委員会)の決定が公表された11月2日は、当初は声明にあった「金融政策が経済活動や物価に影響を及ぼすのに時間差がある点を考慮する」という表記が、以下のように解釈された。

つまり、市場は「引き締めを続けすぎると、それがあとから景気を著しく悪くするかもしれないということは、連銀は重々わかっているよ、景気悪化の兆候が明確に出る前に利上げ幅を縮小するよ」というメッセージだととらえたのである。そのため、同国の10年国債利回りは一時4%を割れ、それを好感して主要な株価指数もザラ場で前日比プラスとなった。

ところが、会合後の記者会見でジェローム・パウエル議長が「引き締めをどの時期まで続けるかという問題のほうが、より重要になっている」と示唆し、「最近のデータを踏まえれば、最終的な金利はより高くなる」と述べた。そのため、「利上げのスピードは落ちても、だらだらと長い間高いところまで政策金利が上がってしまう」との懸念が優勢となった。そこで10年国債利回りは反転上昇し、NY(ニューヨーク)ダウは前日比505ドル安と落ち込んで引けた。

こうした長期金利や株価の上下動は、その翌日も尾を引いたが、ドタバタした動きであって、市場が金利騒ぎから完全には脱却できていないということを示している。