グローバル化の問題点は「新しい階級闘争」を生み出した。新自由主義改革のもたらした経済格差の拡大、政治的な国民の分断、ポリティカル・コレクトネスやキャンセルカルチャーの暴走である。

アメリカの政治学者マイケル・リンド氏は、このたび邦訳された『新しい階級闘争:大都市エリートから民主主義を守る』で、各国でグローバル企業や投資家(オーバークラス)と庶民層の間で政治的影響力の差が生じてしまったことがその要因だと指摘している。

私たちはこの状況をいかに読み解くべきか。同書を翻訳した寺下滝郎氏がポイントを解説する。

イギリスにおける「新しい階級闘争」

イギリスでリシ・スナク政権が誕生した翌日の10月26日。

「スナクは新しい階級闘争を終わらせられるのか(Can Sunak end the new class war?)」というメアリー・ハリントンの論評がオンライン言論サイトのアンヘード(UnHerd)に掲載された。

新しい階級闘争を終わらせる? 実はその1カ月前の9月23日、リズ・トラス前政権のクワジ・クワーテング財務相が発表した(富裕層を優遇する)減税案が、同日付のザ・ガーディアンの記事(ジョナサン・フリードランド執筆)で「階級闘争宣言(a declaration of class war)に等しい」と批判されていたのだ。

まことに時宜を得たものと喜んでよいものかどうか、アメリカの政治学者マイケル・リンドが2020年に著した本の邦訳『新しい階級闘争』(原題The New Class War)がこのたび刊行された。