中国の車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は10月31日、ベトナムの新興自動車メーカーのビンファスト(VinFast)と戦略提携の覚書を交わしたと発表した。「スケートボード・プラットフォーム」と呼ばれる車台(シャシー)を採用したEV(電気自動車)の共同開発などに取り組む。

ビンファストは、ベトナム最大の財閥ビングループを率いるファム・ニャット・ブオン氏が2017年に創設。当初はエンジン車を生産・販売していたが、2021年に初のEVを追加し、2022年1月には「2022年末にエンジン車の生産を終了してEVに全面移行する」と宣言した。

CATLは車載電池の新技術開発で世界をリードする存在だ。これまでも「セル・トゥー・シャシー(CTC)」と呼ばれる電池ユニットの高容量化技術や、標準化された交換式電池などの開発を公表してきたが、スケートボード・プラットフォームの開発を明かしたのは今回が初めてだ。

スケートボード・プラットフォームは、アメリカ自動車大手のゼネラルモーターズ(GM)が2002年に提唱した新たなコンセプト自動車開発手法だ。クルマの車体を上下に分割し、下側のシャシーを標準化して(EVの走行に不可欠な)駆動システム、電池、制御系システムなどの機能を集約する。そのうえに異なるボディを載せることで、さまざまなデザインのクルマを短期間かつ低コストで開発できる。

将来性に懐疑的な見方も

アメリカの新興EVメーカーのリヴィアン・オートモーティブは、自社開発のスケートボード・プラットフォームを採用したピックアップトラックをすでに販売している。中国では悠跑科技(Uパワー)などのスタートアップ企業が、自動車メーカー向けにスケートボード・プラットフォームの技術提供を計画している。

CATLは、電池セルを冷却システムや電圧制御システムなどと一体化し、シャシーに直接組み込む技術を開発してきた。それが前述のCTCだ。従来の電池ユニットに比べて原材料やスペースを節約でき、重量も軽くなるため、EVの航続距離を伸ばすことができる。

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同社の説明によれば、CTCをさらに一歩進めて車体を上下に分割することにより、スケートボード・プラットフォームを実現できるという。

しかし自動車業界内には、スケートボード・プラットフォームの将来性に懐疑的な見方も少なくない。「車体を上下に分割すると衝突安全性の確保が難しくなるうえ、(電池とシャシーの一体化により)電池の交換やメンテナンスもままならない」。ある自動車メーカーの技術部門の幹部は、そう指摘する。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は11月1日

著者:財新 Biz&Tech