2022年11月13日、カンボジアのプノンペンで日韓首脳が3年ぶりの正式会談を行った。「史上最悪の関係」とまで称された日韓関係は、今回の会談で改善の方向に向かうのか。

「最悪の関係」と言われるまでに至ったのは、それまでくすぶってきた、いわゆる従軍慰安婦問題や、韓国の裁判所が元徴用工に対して日本企業にが賠償を命じた問題(元徴用工問題)など歴史問題が2010年ごろから強く顕在化したことがある。

さらに韓国の文在寅・前政権時、韓国海軍が自衛隊哨戒機にレーダーを照射した事件が発生、さらに日本が半導体関連製品の輸出において韓国向けの輸出管理を厳格化したこと、韓国側が日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を宣言したことなども重なり、関係が悪化したままだった。

今回、ようやく日韓首脳が会談の席に着いたのは、北朝鮮のためだ。とくに2022年に入り相次いでミサイル発射を繰り返している北朝鮮に対し、アメリカとともに日韓は結束して対応する必要性が高まった。また、それまで日韓関係の改善に積極的な姿勢がみえなかった文在寅政権から、2022年5月に尹錫悦大統領が就任して政権交代がなされたことが大きい。

「北朝鮮が7回目の核実験を行う」という観測も出ている中で、東アジアの安全保障のためには、日米韓が結束して安全保障に当たるという姿勢を見せるほかない、という時期に来ていた。これが首脳会談への実現に大きく寄与した。

北朝鮮が日韓の幅を狭めた

尹政権は発足前後から、日本やアメリカとの同盟強化に積極的な姿勢を見せていた。日本首脳との会談実現に向けて努力していたこともある。2022年11月に行われた海上自衛隊の国際観艦式に韓国艦艇が参加を決定した。また首脳会談直前の11月上旬には、自民党の麻生太郎・副総裁が訪韓して尹大統領とも面談するなど、首脳会談への地ならしも行われた。これは日本側としても、韓国の対日姿勢に反発し「距離を置くべき」とする世論や自民党内の一部議員への配慮もあった。

実際の会談では、何が話されたのか。日韓間の最大の懸案である元徴用工問題では「外交当局間の協議が加速していることを踏まえ、懸案の早期解決を図ることで改めて一致」した。ただ、具体案まで言及されなかったため、解決の実現性について疑問が出されている。

とはいえ、「日韓外交当局間で具体案に関して、突っ込んだ協議が行われているとみたほうがよい」と、朝鮮半島問題に詳しい静岡県立大学国際関係学部の小針進教授は指摘する。

実は、具体案としては日本企業からの元徴用工への謝罪や元従軍慰安婦への補償などを実施した「和解・癒やし財団」の資金から補償するといった案も出ている。和解・癒やし財団とは、2015年のいわゆる「日韓慰安婦合意」により日本から10億円を拠出して元慰安婦への支援事業を行ってきた財団だ。