ウクライナ侵攻は今後どのような方向に向かうのか。この方向性をめぐり2022年11月中旬、先行きの不透明感を醸し出す「出来事」が相次いだ。

それは、①侵攻への対応に関するG20(金融・世界経済に関する首脳会合)など一連の国際舞台での論議の行方、②ロシアとの停戦交渉をめぐるアメリカのバイデン政権内での意見対立、③ポーランド領内へのミサイル着弾問題である。それから1週間余り。本稿執筆時点でこのモヤモヤ感はまだ完全に払拭されたわけではないが、ある程度方向性が見えてきた。

深まったプーチンの「出口なき状況」

まず、インドネシアで開かれたG20サミットなどでは、苦しい戦局打開のためにウクライナに停戦交渉開始を求めているプーチン政権が交渉開始を後押しする国際的機運の盛り上がりを実現できなかった。逆に戦争への非難が表明され、かえってロシアの国際的孤立が浮き彫りになる結果に終わった。これにより、侵攻をめぐるプーチン政権の「出口なき状況」が一層深まるのは間違いない。

これを象徴したのが、2022年11月16日に閉幕したG20サミットが採択した首脳宣言だ。宣言はロシアの名指しこそ避けたものの「ほとんどの加盟国・地域が戦争を非難した」と明記して、侵攻を批判した。また「核兵器の使用や、使用の脅しは許されない」として、核使用の脅しを続けるロシアにノーを突き付けた。米中首脳会談でも習近平国家主席は核使用反対を表明し、ロシアの核使用への包囲網が高くなった。

宣言は一方で、西側の対ロ制裁をめぐっては「他の見解や異なる評価もあった」と、ロシアの立場を反映させた文言を入れて両論併記の体裁をとり、一定のバランスを図った。しかし早期の交渉開始の必要性に触れるような文言は入らなかった。

この宣言の文言スタイルはその後、バンコクで開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)の首脳会議でも、そのまま引き継がれた。この結果の背景には、早期の交渉開始に向けた機運醸成を避けるため事前にアメリカなどが水面下で、議長国や各国に対し、説得工作を展開したこともあるとみられる。

G20サミットの前からウクライナの反攻作戦継続を支援するアメリカと欧州、日本は、中国やインド、開催国のインドネシアなどから停戦交渉の早期開始を求める声が出ることを警戒していた。これらの国々は従来アメリカ主導の国際秩序に反発している。仮に今回のG20でそうした交渉開始論が公然化すれば、食糧危機やエネルギー危機への懸念から、ウクライナ戦争の早期終結を求める声が多いアフリカ、アジアなど、いわいるグローバル・サウス諸国にも伝播する可能性があるからだ。