アジアを舞台とした一連の首脳外交が終わった。

一連の会議での最大の焦点はもちろん、ロシアのウクライナ侵攻問題だった。最初の会議は、11月13日にカンボジアで開かれた東アジア首脳会議(EAS)だ。これはASEAN(東南アジア諸国連合)や日本、アメリカ、中国、ロシアなど18カ国が参加するもので、予想どおり非難の応酬に始まった。ロシアが全体をかき乱すのではないかという予感が走った。

続くインドネシアのバリ島で開催された主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)も、冒頭で恒例の参加者全員の集合写真撮影が取りやめになるなど見通しは暗かった。報じられる内容は、ロシアを厳しく批判するG7(主要7カ国)側と、それに反発するロシアや中国、そして大国間の争いごとに巻き込まれたくないASEANなどの中小国の当惑だった。

G20が首脳宣言合意に成功したワケ

ところが結果的に、G20は首脳宣言の合意に成功した。会議の決裂を救ったのは成果を形に残したい議長国インドネシアのジョコ大統領のこだわりと、決裂のまま引き継ぎたくない次期議長国インドのモディ首相の熱心なサポートだった。

ほかにも、孤立した姿を見せたくないロシアのプーチン大統領が欠席したうえ、ロシア非難の国連決議に反対した北朝鮮やベラルーシなどがメンバーではないことも合意をしやすくした。共産党大会を終えたばかりの習近平国家主席と、中間選挙で民主党が大健闘したアメリカのバイデン大統領という主要プレーヤーに、いくばくかの余裕があったこともプラスに作用したであろう。

合意した首脳宣言の内容はまず「他に類を見ない多元的危機の中」という現状認識を示している。そしてほとんどのメンバーがロシアのウクライナ侵略を批判していることを明記したうえで、とってつけたように「この状況及び制裁について、他の見解及び異なる評価があった」というくだりを付け加えている。この部分がロシアを口説く決め手になったのだろう。

さらに、核兵器の使用や核兵器による威嚇は許されないとして、核使用をちらつかせるロシアを批判した。最後に「今日の時代は戦争の時代であってはならない」という、モディ首相が好んで使うフレーズも盛り込まれている。