高齢化社会が進展するなか、認知症は「国民病」ともいえる存在になりつつある。

週刊東洋経済 2022年12月3日号(11月28日発売予定)は「認知症 全対策」を特集。介護から予防、費用、相続まで認知症のあらゆる対策を網羅する。

アルツハイマー型認知症など4大認知症は認知症の原因疾患の約9割を占めるが、根本的な治療法が現段階では確立されていない。だが、認知症は発症を遅らせたり、症状の進行を遅らせることができると最新の研究から明確になってきた。

そもそも認知症とは、認知機能が低下して日常生活に支障をきたす「状態」のこと。急に発症するものではなく、健康な段階からゆっくりと認知機能が低下し、生活に支障が出るようになる。

特に認知症予備軍ともいえる「MCI(軽度認知障害)」の段階で早期に認知機能の低下に気づき、適切な手を打つことが重要だ。

MCIの段階でなにもしないと年間5〜15%に人が認知症に移行する。一方で、適切な予防策を打てば年間16〜41%の人が通常の認知機能の状態に戻るという報告もある。

電話での応答内容をAIが測定

「認知症予防は早期発見・対策が重要」。とはいえ、「もの忘れが増えたかな」程度で専門外来を受診するのは心理的ハードルが高い。また、高齢の両親に検査を勧めても、「自分は病気じゃない」と拒まれることもよく聞く悩みだ。

今は発症前にリスクを手軽に測定できるサービスや検査が増えている。

話題になっているのが、NTTコミュニケーションズが提供する「脳の健康チェックフリーダイヤル」だ。20秒程度の電話で認知機能が低下していないか測定できる。自動音声が今日の日付と年齢を質問、その返答内容や話し方からAIが認知機能の状態を測る。

実際に体験した60代男性は、もの忘れが増えてきたことが気になっていた。「手軽に自身の認知力を見つめ直すいい機会になる。認知機能は正常と言われたが、今後も注意していきたい」と語った。