中国の新興EV(電気自動車)メーカーの威馬汽車科技集団(WMモーター)が、全社員を対象に大幅な賃金カットに踏み切ったことがわかった。

11月21日、同社董事長(会長に相当)の沈暉氏が「管理職は賃金の50%、一般従業員は30%をカットし、年末ボーナスと自動車購入手当も支給しない」と社内メールで通知した。財新記者の取材に応じた威馬汽車の関係者は、このメールを受信したことを認めた。

中国自動車業界の新興勢力のなかで、威馬汽車は蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(シャオペン)、理想汽車の後を追う2番手グループの注目株だった。しかし近年、同社は成長の壁に突き当たっていた。

威馬汽車は浙江省温州市と湖北省黄岡市の2カ所に完成車工場を構え、3車種のEVを販売している。しかし製品のポジショニングが中途半端で、(富裕層の)個人客のEV購入ブームという絶好のチャンスをつかみ損ねた。現在の主要販路は(利幅が薄い)レンタカーやタクシー向けだ。

累積赤字は4000億円超

今回の賃金カットの背景には、上場計画の頓挫による資金不足もある。威馬汽車の前身は、創業者の沈氏が2015年に買収した機械メーカーで、後に社名を変更。さらに沈氏は、上場準備のために威馬智慧出行科技上海(威馬上海)を別途設立し、威馬汽車を完全子会社化した。

威馬上海は中国国内で複数ラウンドの資金調達を実施し、当初は上海証券取引所のハイテク企業向け新市場「科創板」への上場を目指していた。それが不調に終わると、次は香港証券取引所に鞍替えし、英領ケイマン諸島に登記した威馬控股の名義で2022年6月に上場を申請した。

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威馬控股のIPO(新規株式公開)の目論見書によれば、威馬上海の資産を組み替えて傘下に組み入れる計画となっている。だが、威馬控股の香港上場が実現する見通しは立っていない。

目論見書によれば、威馬汽車の直近3年間の最終損益はすべて赤字だ。その額は2019年が41億4500万元(約818億2500万円)、2020年が50億8400万元(約1003億6200万円)、2021年82億600万元(約1619億9200万円)と、年を追うごとに膨張。2021年末時点の累積赤字は205億3600万元(約4053億9500万円)に上る。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は11月22日

著者:財新 Biz&Tech