大手回転ずしチェーン・くら寿司で、卓上のしょうゆ差しの注ぎ口をなめ、その様子を撮影した動画をネットに投稿した迷惑客が逮捕された。逮捕当日に「くら寿司」はコメントを発表した。この「くら寿司」のコメントに、ネット上は賞賛で埋め尽くされた。

だが、私は今回のくら寿司のコメントに「かなり強気で攻撃的な企業体質」を垣間見た気がした。その強気な姿勢に、一抹の危うさも感じたのだ。

そこで本稿では、同じ「寿司テロ」に直面しながら、「くら寿司」とは対照的な広報対応をとった「スシロー」と比較し、私の「懸念」を明らかにしていきたい。

いち早く、くら寿司はコメントを発表した

今回の逮捕を受けて、いち早く、くら寿司はコメントを発表した。「当社店舗(名古屋栄店)において迷惑行為を行った者の逮捕につきまして」と題された、このリリースから一部紹介したい。

「先月当社の名古屋栄店におきまして、極めて悪質な迷惑行為を行い、その動画をSNSで発信した容疑者3名全員を逮捕したと、本日、警察から連絡がありました。愛知県警中警察署の迅速な行動に心から感謝申し上げます。

(中略)

今回の逮捕をきっかけに、こうした、お客さまとの信頼関係に基づく仕組みを、根底から揺るがす迷惑行為が「犯罪」であるということが、広く世の中に認知され、今後、模倣犯がなくなることを切に願います」(公式HPより)

まず驚いたのは、コメント発表のスピードだ。多くのメディアが犯人逮捕を報じる前に、コメントを発表していたからだ。通常、こうしたコメントは「逮捕の報道」を受けて、発表することが多い。報道前に警察から逮捕の連絡が入ってすぐに発表しないと、ここまで早い広報対応にはならない。

(出所:くら寿司公式サイト)

とはいえ、くら寿司は日常的に「きめ細かい、迅速な広報対応」を行ってきた会社ではない。実際、「迷惑動画」が騒ぎになったときも、特に自社サイトにコメントなどは発表していない。それだけに今回の逮捕への素早い対応に、「並々ならぬ怒り」を感じてしまう。