リチウム生産の世界的大手であるチリのSQMは10月25日、オーストラリアの大規模リチウム鉱山の採掘権益を獲得したと発表した。

オーストラリア証券取引所に上場する資源開発企業、アズール・ミネラルズの発行済株式の80%を総額9億ドル(約1349億円)で買収する。SQMは2023年3月にアズール・ミネラルズの株式の20%を取得済みであり、今回の取引を通じて完全子会社化する。

SQMは、世界最大級のリチウム塩湖として知られるチリのアタカマ塩湖の採掘権を持ち、2022年にはリチウムイオン電池の主原料の1つである炭酸リチウムを15万2500トン生産した。

買収価額は上場時の14倍

同社の大株主は、中国のリチウム大手の天斉鋰業(ティエンチー・リチウム)だ。2018年12月に40億6600万ドル(約6095億円)の巨費を投じてSQMの発行済み株式の23.77%を取得し、現在も同22.16%を保有している。

SQMによるアズール・ミネラルズ買収の背景には、世界各地でリチウム資源の権益確保に動いている天斉鋰業の後押しがあったと見られている。

だが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。SQMが2023年8月にアズール・ミネラルズの完全買収を提案すると、アズール・ミネラルズ側はそれを拒否し、企業評価額をめぐる厳しい交渉が続いたからだ。

10月25日に発表された最終合意価額は1株当たり3.52オーストラリアドル(約335円)と、アズール・ミネラルズ株の最終取引日の終値を44%も上回った。その結果、同社の企業評価額は2023年3月の上場時の14倍に当たる10億3000万ドル(約1544億円)に急膨張した。