「残された家族のために」――亡くなった人の身だしなみを整え、故人と家族の最期の時間を繋ぐ、エンゼルメイク(死化粧)。その研究・普及活動を担うエンゼルメイク研究会代表を務めるのが、元看護師で作家の小林光恵さん。医療の現場を若手ナースの等身大の視点で表した、漫画『おたんこナース』の原著者でもある小林さんが、40歳を目前に、「死」と向き合うエンゼルメイクへの道を極めることを決めた理由とは……。

原点となる看護学生時代から作家になるまで、研究会の立ち上げから現在まで、幾多の出会いの軌跡を辿りながら、活動にかける強い想いをインタビュー。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けします。

故人と家族の心を繋ぐエンゼルメイク

――亡くなった方を看取るための整え、「エンゼルメイク」の研究活動をされています。

小林光恵氏(以下、小林氏):エンゼルメイクというのは、亡くなった人への身だしなみを整える行為です。メイクといってもお亡くなりになった方のお顔や目元、口元にお化粧を施すだけでなく、遺体特有の皮膚の乾燥などに配慮しながらスキンケア、シャンプー、爪切り、着替えなど、見える部分も見えない部分も生前の元気だった頃の、その人らしい姿になるように施すことでもあります。

エンゼルメイクは、故人と残された家族を繋ぐ「看取り」の1つの手段です。近年、お通夜やお葬式を省略し、火葬直前に花入れなどの儀式をおこなう「直葬」や、儀式すらおこなわないケースもあるなど、亡くなった方を「おくる」スタイルの多様化とともに、急激に簡素、簡略化する傾向も見られ、私たちにとって「死」の手ざわりのようなものは非常に実感しにくい状況にあると感じています。そうした中で、「おくり」の前段である「看取り」は、人が生から死へと移行する事実、人の営みに欠かせない「死」を実感し、受け入れていくことに役立つ数少ない場面でもあります。