人生100年時代。寿命が延びるにつれ、高齢者の認知症が深刻な社会問題にもなってきています。誰もが「自分は認知症になりたくない」と思っていることでしょうが、そもそも認知症の原因とは何かご存じですか? 実は、最もポピュラーなアルツハイマー型認知症を引き起こすのは、"歯周病"であることがわかっています。つまり、歯をケアすることが認知症予防、もしくは認知症状の緩和・改善につながるということ。実際に、認知症治療に口腔ケアを取り入れている認知症専門医の長谷川嘉哉氏が解説します。

歯周病菌が出す毒素が海馬のゴミを増やす

改めて説明するまでもなく、超高齢社会となった日本において、認知症は国家レベルで取り組まなければならないほどの深刻な社会問題となっています。

厚生労働省は、団塊の世代がみな75歳以上になる2025年には65歳以上の5人に1人、約730万人が認知症になると試算しています。これは、埼玉県の人口とほぼ同じ数です。軽度認知症を含めると、認知症1000万人時代の到来も時間の問題だと言われています。

ある調査では認知症は、近年では将来なりたくない病気としてがんや肺炎を押しのけて1位になっているほど、とても身近な病気になりました。

さて、認知症にはさまざまな種類がありますが、中でも最も多いのが「アルツハイマー型認知症」です。2017年の厚生労働省のデータによると、認知症の67.6%がアルツハイマー型だそう。昔のことはよく覚えていても最近のことは忘れてしまったり、やがて時間や場所の感覚がなくなっていくといった症状がよく現れます。

このアルツハイマー型認知症を引き起こすのが、‟脳のゴミ“と呼ばれる「アミロイドβ(ベータ)」というタンパク質です。これが脳内で記憶をつかさどる「海馬」を中心に少しずつたまっていくことで、そのゴミに圧迫されて、徐々に脳細胞が壊死し、どんどん記憶力が低下していきます。これがアルツハイマー型認知症の発生・悪化メカニズムだと考えられているのです。