「若年者の孤独死について感じるのは、生前、彼らが社会において孤立していたということです。慢性的な孤立状態が寿命を縮めてしまうというのは、毎回特殊清掃現場に携わっていてひしひしと感じることです」

特殊清掃業者である武蔵シンクタンクの塩田卓也氏は、若年者の孤独死について、こう警鐘を鳴らす。

200匹ものハエの大群が突進

年間孤独死3万人、孤立状態1000万人。これがわが国の置かれている状況だ。

拙著『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』を執筆するにあたり、とくに、団塊ジュニア、ゆとり世代は、社会的孤立に陥りやすく、孤独死しても長期間、遺体が見つからないという痛ましいケースを取材で多々目の当たりにしてきた。孤独死はもはや高齢者に限った問題ではない。

その日本社会の暗部と日々向き合っているのが、塩田氏のような特殊清掃人だ。彼らが手がける案件のほとんどが、孤独死だからである。

現役世代の孤独死の特徴として、生前彼らは、必ずしも長期間家に引きこもっていたというわけではない。現役で働いていたり、少なくとも、数年前までは勤めていた形跡があったり、かつては社会とかかわりを持っていた形跡を感じることが多い。

そして、ふとした何らかのきっかけで、つまずき、孤独死してしまうのだ。

昨年2月、塩田氏は、横浜市に住む2DKの分譲マンションの一室に足を踏み入れようとしていた。200匹はくだらない数のハエが、塩田氏の顔面に容赦なく、突進してくる。

隣のマンションに住む住民の子どもが、毎日同じ部屋の電気がついていることを不審に思い、親に相談。管理会社の通報があり、女性の孤独死が発覚した。