家庭が唯一、安心できる居場所だから引きこもっている

川崎市の児童ら殺傷や練馬区の元事務次官の一連の事件が、引きこもり本人や家族の間に与えた動揺は、いまだに収まりそうもない。

NPO「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」の本部には、全国の家族や当事者たちから「引きこもりというだけで事件を起こす」と見られているようで「怖い」と怯える声や相談が、事件前より数十倍も届いている。

メディアでは、「死ぬならひとりで死ね」「不良品」などといった無神経な発言が流布され、そのたびに追い詰められた家族間では新たな悲劇が誘発されかねない危機的状況が続き、本人は「引きこもり行為への偏見や差別が助長される」「外に出られない」などと、ますます委縮する状況になっている。身近に行ける居場所などの情報を求める相談も各地から多く寄せられた。

「引きこもり状態」に陥りやすい人は、心優しくてまじめなタイプが多く、今の状態に至るまでの間には、命を守るために回避せざるをえなかった長いヒストリーが人それぞれある。典型的なのは、学校や職場で痛い目に遭ったり傷つけられたり、その積み重ねによるトラウマを持っていることだ。

衝突や傷つけ合うことが嫌で、人との交流を避けた場所でしか生きられない。そして社会から撤退せざるをえなくなり、家庭が唯一、安心できる居場所になっているから、引きこもっているという人も少なくない。