5.5組に1組の夫婦が不妊検査や治療をしていると言われています。妊活や不妊治療という言葉は一般化しましたが、実際に何をするかは経験者にしかわからないのが現実。「不妊治療のリアル」について、経験者たちに取材しリポートしていく本連載。

今回のテーマは「職場の無理解」です。子育て中の時短勤務者のしわ寄せを受けたり、治療をカミングアウトしたことでシフトを大幅に減らされたり……。2人の女性に話を聞きました。

女性の多い職場が、女性にとって働きやすいとは限らない。独身、既婚、子どもの有無、キャリア志向かプライベート重視かなど……。ひと口に「女性」といっても、置かれている境遇や志向は人それぞれ。見えにくい分、働き方の問題は複雑になることも少なくない。

女性の活躍する場として、安定した給与と根強い需要から、人気がある職業の1つが看護師。最近は男性も増えてきているとはいえ、女性中心で回っているところがほとんどだ。そのため、出産後に復帰してもサポート体制が整い、長く働きやすい病院も多い。

ある看護師さんの不妊治療

大阪市在住の戸山涼子さん(仮名、35歳)は、大学卒業後、看護師として総合病院に勤務。やりがいはあったが、勤務時間外でも呼び出しに応じるオンコールへの対応や当直など不規則な勤務体系だったため、結婚を機に28歳で別の総合病院の外来担当に転職した。

子どもが欲しかったがなかなかできず、30歳のときに専門クリニックを受診。検査をしても、とくに不妊理由は見つからない。自然妊娠を希望していたこともあり、排卵日に合わせて夫婦生活を行うタイミング法からスタートした。

タイミング法といっても、卵胞が育っているか、排卵があるか、内膜の厚みは十分かなどのチェックで月3〜4回は通院が必要になる。

総合病院なので、部署によっては救急対応や当直もあったが、戸山さんの所属する外来は基本的に日勤のみ。18時30分には仕事が終わるので、19時にクリニックに到着。仕事帰りの患者で混雑している待合室で待ち、大体いつも20時30分ごろから診察、帰宅は21時半をまわっていた。

「その頃は人工授精や体外受精に抵抗があり、次のステップに進むことに躊躇があったんです。だから当初はできる範囲で、と思っていました」

結局3年近く、排卵誘発薬の内服とタイミング法のみ。しかし統計上、今のままで妊娠する確率は2%と言われ、不妊治療をいったん中断することにした。