例えば、近年経済成長著しい韓国や香港、台湾といった国も、日本以上の少子化に悩み始めている。アジア各国の合計特殊出生率(2017年)を比較すると次のようになる。

●シンガポール …… 1.16人
●韓国 …… 1.05人
●香港 …… 1.13人
●台湾 …… 1.13人
●タイ …… 1.47人
●日本 …… 1.43人(2018年)

アジア各国の合計特殊出生率が極めて低い状況にあるのは、近年の著しい経済成長の副産物なのかもしれない。日本とはまた違った意味での少子化の原因があるはずだ。この原因をきちんと抑えなければ、なぜ出生数が減り続けるのか……。正確な分析は難しい。

格差がもたらす社会不安が少子化の原因か?

問題は、日本だけではない少子化現象の原因だ。なぜ、経済成長を遂げている国々の出生率は下落し続けているのか。さまざまな国でも挙げられている要因をいくつか紹介すると……。

1. 経済的な事情によるもの(格差社会)
2. 結婚率の低下(結婚という制度に対する批判)
3. 保育園などの子育て支援の体制が未整備(教育費の高騰)
4. 晩婚化、晩産化の進行
5. 少なく生んで大切に育てる意識の浸透(少数精鋭主義)
6. 心理的な抑圧

この中で最も大きな問題は「経済的な事情によるもの」、すなわち貧困問題と言っていいかもしれない。21世紀に入って、リーマンショックを機に、世界はより激しい「格差社会」に突入した。高騰する教育費を考えると、子どもの数を減らそうと考えるのは自然なことだ。

世界で数十人の人間の富が、それ以外の99%の富と同等、もしくは上回っている現状は、大きな問題と言っていい。なぜこんな社会になったのか。一言で言えば「政治の問題」と言っていい。

富裕層におもねることで莫大な富が政治家に流れ、巨万の富を得た富裕層はますます税金を払わないで済む状況になり、それ以外の貧困層は子どもすら産めない貧困に陥りつつある。言い換えれば、巨万の富を得た富裕層は少子化の責任を取るべきであって、 きちんと利益還元するべきだ。

そしていま、クローズアップされている問題が「心理的な抑圧」という問題だ。経済的な理由による少子化は一瞬正論のように思えるが、よく考えると世界中で爆発的に人口が増えているのは、みな最貧国と呼ばれているような地域が多い。避妊に対する無知という面もあるが、貧しいことと出生率の間にはそう関係がないのかもしれない。

中国も、国民の大半が貧困から脱却したと同時に、少子化に陥っている。経済的要因というよりも、社会不安や未来への不安が出生数を押し下げているのかもしれない。

日本の「地方人口」は、国連のデータによると2018年からわずか12年間で17%減少するそうだ。世界でもトップクラスの人口減少のスピードになるそうだ。それでも、東京の合計特殊出生率は最も低い1.21人(2017年)。逆に、沖縄は1.94人(同)と最も高い。

少子化を阻止したいのであれば、大都会から地方への人口流出を促す、地方重視の政策に切り替えるしか方法はないのかもしれない。

著者:岩崎 博充