華やかなプロ野球の世界。活躍した選手には名誉と莫大な報酬がもたらされる一方で、競争に敗れ、表舞台から去りゆく選手がいる。そんな「戦力外通告」を受けた選手をドキュメンタリーで描いてきたのが、TBSテレビの『プロ野球戦力外通告〜クビを宣告された男たち』だ。

12月30日(月)夜10時からの放送回で通算16回目を迎えるこのシリーズ。プロ野球選手の姿は特別な存在ではなく、不況の中では誰の身にも起こりうる“究極のリアル”でもある。放送を控え、番組に関わるサイドストーリーを取材班が3回にわたってリポートする。

第3回は城所龍麿(きどころ りゅうま)。2018年11月に福岡ソフトバンクホークスから戦力外通告を受け、現役を引退。翌2019年からソフトバンクの球団職員に就職した。少年野球の指導者として日々活動する城所の今を追った。

第1回は中後悠平の記事『30歳、プロ野球を3度クビになった男の波乱曲折』。

第2回は高橋洸の記事『巨人で「3軍」常連の男が野球に見つけた生き方』。

城所龍磨は子どもたちの夢をかなえる手伝いをしている

現役時代と同じユニフォームを身にまとった男が、温かいまなざしを子どもたちに向ける。だがその男は、もはやプロ野球選手ではない。今の職業は少年野球の指導者。無我夢中で白球を追う子どもたちが夢を叶える手伝いをする立場だ。

1年前、惜しまれつつもプロ野球選手としてのユニフォームを脱いだ城所龍磨。現在は球団職員となり、NPO法人ホークスジュニアアカデミーの野球教室で汗を流す。

「教える側もいることはわかっていたので、いつか子どもたちにも野球を教えられたらいいなと思っていました」

2018年11月4日、城所は15年間在籍したホークスからクビを宣告された。

「覚悟はしていました。そのタイミングで戦力外通告があることはわかっていたことなので」

それはホークスが2年連続の日本一を決めた、わずか4時間後のことだった。

城所は日本シリーズの40人枠に名を連ね、胴上げやビールかけにも参加していた。歓喜の瞬間から一転、まさに奈落の底に突き落とされた。

ただ、城所自身は意外にもすんなりと気持ちを切り替えることができたという。それは、協力してくれたチームスタッフがいたからこそ。城所は彼らへの感謝の思いをこう語る。

「(2018年シーズンは)開幕からずっと1軍でやらせてもらって、交流戦が終わるころにファームに落ちて。もちろん1軍を目指しながらも、ファームでも気持ちよくやらせてもらったので、後悔はまったくなかったですね」