コロナ禍による前代未聞の事態に襲われた映画界が迎えた夏興行。それは、苦境のなかの映画シーンの厳しさがどこまでのものなのか、どのくらいの人が映画館へ足を向けるのか、2020年の興行収入(興収、売上高に相当)はどうなるのか、といった現況を測る試金石でもあった。

その結果は、興行収入50億円超えが1作、30億円超えが2作、20億円前後(見込み)が1作と、関係者を驚かせる想定以上の好成績となった。そこから見えてきたコロナ禍における映画興行のあり方、秋に向けての課題、年間興行収入の行方について考えてみる。

「今日俺」「コンフィデンスマンJP」が牽引

緊急事態宣言とともに全国の映画館休業という未曾有の危機的状況に陥った映画界。5月末から映画館の営業が順次再開されるも、社会全体にコロナへの不安が影を落とすなか、洋画の新作公開が続いたがいずれも思うような成績には結びつかず、映画界全体が重苦しい空気につつまれていた。

そんな雰囲気を吹き飛ばしたのが、7月17日から公開の『今日から俺は!!劇場版』(略称「今日俺」)だった。最終興行収入は50億円を超え、最終的には52億円程度になる見通し。平時でも大ヒットといえる数字だ。さらに翌週の7月23日に公開された『コンフィデンスマンJP プリンセス編』も最終興行収入は35億円と、前作の29.7億円を超える数字を記録した。コロナの不安が払拭されないなかで、夏興行は幸先のよいものとなった。

アニメ作品も健闘している。8月7日公開の『映画ドラえもん のび太の新恐竜』も最終興行収入30億円を超える見通しで、8月15日公開の『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel]III.spring song』も20億円程度になる見通しだ。通常でも興行収入10億円を超えればヒットといわれるが、4作品がそれをクリアしている。

コロナ禍のなかで、とくに邦画の実写2作がヒットしたのはなぜか? その背景には、「作品の内容」と「興行面の事情」という2つの要因がある。