アメリカのコロナ禍は、日本の比ではなかった。世界最多の感染者数、死者数が出る中、MLBでは従来162試合のペナントレースを4割以下の60試合にまで圧縮した。すべて無観客試合のまま9月末でレギュラーシーズンは終了した。

放映権収入はあったが、入場料収入や物販収入などはほぼゼロだ。そこでMLB機構はポストシーズンを充実させて、放映権収入を少しでも多く獲得しようとしている。

しかし、それでも大幅な減収は不可避だ。それを見越してシーズン前にMLB経営者はMLB選手会と協議して、今季の年俸を大幅に削減した。さらには2軍(AAA)から8軍(ルーキーリーグ)まであるマイナーリーグは経費削減のため、今年は全休になった。マイナーリーグの選手たちは事実上職を失ったのだ。

来季以降もMLBは改革の手を緩めないだろう。おそらくは球史に残るような大改革をするだろう。これまでの枠組みを見直すことだけでなく、マイナーを含めた球界再編も不可避だ。

こういう時期ではあるが、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは、MLB球団数を30から32に増やすエクスパンションの意向を持っているといわれる。

MLBの徹底的な生き残り策

その一方で、コロナ禍の直前に2軍から8軍まで160あった球団のうち、下部に属する40球団との契約を打ち切っている。

NPBと異なり、MLBのマイナー球団のほとんどは独立採算の単独企業だが、こうした球団との契約を解除することで、選手育成コストを削減したのだ。こんな時期でも市場拡大を志向する一方で、コストカットも果敢に行っているのだ。

これまでもMLBはコミッショナーの強いリーダーシップで、次代を見越した施策を次々と打ってきた。新型コロナの危難も、大胆な機構改革とマーケティングで乗り切るつもりだろう。

おそらく選手会との激しい対立があるだろうが、それも織り込み済みのはずだ。北米4大スポーツでも最も老舗で守勢にまわりがちなMLBだが、生き残るためには何でもするという腹積もりだ。

NPBでもコロナ禍になって、一部球団オーナーから選手年俸を削減する提案があった。しかし多くの球団がこれに反対して見送りになった。