前述のように、今季、ほとんどの球団が大幅減収となり、赤字決算になる可能性があるが、親会社のある球団は従来通り補填をして乗り切るだろう。親会社がなく独立採算の広島も、過去5年はほぼ満員の観客動員であり、内部留保で乗り切ることが可能ではないかと思う。

しかしながら「ポストコロナ」には、世の中は大きく変わると考えられる。すでに「野球離れ」が危険水域に達する中で、NPBはプロ野球というマーケットを維持、拡大するために積極的な手を打つべきときが来ていると思われる。

ソフトバンクの王貞治球団会長は、球団数を増やすエクスパンションを提唱した。オリックス球団からは各地の独立リーグ、クラブチームを傘下に収める球界再編の話が出た。またプロアマの垣根を越えた連携などの話もある。しかしNPBは一向に動く気配がない。

NPBにもコミッショナーがいて、最高権限を有しているとされるが、実際にはNPBの運営は各球団の思惑で動いている。プロ野球、野球界全体を見渡してドラスティックな改革をする旗振り役がいないのだ。

“老いた日本”と“若いアメリカ”

日米のプロ野球の体質の差は、そのまま両国の社会のあり方の差でもある。高齢化が進む日本では、改革よりも既得権益を守る空気のほうが優勢なように思える。

危難に直面しても、先手を打って動くのではなく周囲の変化を見まわしてから動こうとする。そして「使えないFA制度」は、格差社会が深刻になる中でも、人材の流動化がなかなか進まない「やり直しがきかない国、日本」を象徴している。

日本人から見れば「やりすぎ」と思うほどに矢継ぎ早にドラスティックな改革が行われ、目まぐるしく人材が流動するアメリカは、少なくとも「自分の才覚で困難を打開し、未来を拓こう」という気概があることが見て取れる。アメリカは若い。

『プロ野球FA宣言の闇』では、代理人として野茂英雄や伊良部秀輝をMLBに導いた団野村がこう言っている。

「プロ野球はもっと計画性をもって、14球団、16球団に増やしていくべきだと思います。独立リーグもNPBの傘下に入れて、若い選手を育成するためにどんどん試合をやっていく。そうすることで地域が活性化して、少年が野球をやるような環境を作っていく。やっぱり身近にプロ野球を見ていくことで、子どもたちの夢も変わると思うんですよね」

筆者も全く同感だ。日本プロ野球は若々しい決断をすることができるだろうか。

著者:広尾 晃