バイエル薬品が制作し、婦人科などで配布している冊子(『生理前 カラダの調子やココロの状態が揺らぐ方へ PMS 月経前症候群』)によると、約74%の女性が、月経前や月経中に身体や心の不調(月経随伴症状)を抱えているという。

月経随伴症状とは、月経前はPMS(生理前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)、月経中は月経困難症と呼ばれる症状だが、日本ではまだあまり知られていない印象だ。

しかし、月経前に精神状態や体調が変化することに気付き、悩んでいる女性は少なくない。

実際にPMSやPMDDに苦しむ女性の事例を紹介することで、PMSやPMDDについての理解を社会に広められたらと思う。

突然キレて物に当たる妻

「臭い! 食事をする前に足を洗ってきて!」

空山桃華さん(仮名、40代)は、仕事から帰宅した夫の足がひどく臭うため、何度も注意した。すると夫はクローゼットの引き出しを蹴とばし、引き出しはバラバラに。

それを見た空山さんはカッとなり、作ったばかりの熱々の鍋をシンクに投げつける。土鍋が割れ、具材が飛び散った。

大きな音で、おんぶで眠っていた娘は火がついたように泣き出し、息子も泣きそうになりながら、「パパのためにもう一度お鍋を作って!」と訴えた。

空山さんは子どもたちを寝かしつけ、少し気持ちが落ち着いてきたため、残りの野菜と別の鍋で再び鍋を作り、就寝。

翌朝、空山さんは澄み切った青空のように爽快な気持ちで目覚めた。月経が始まったのだ。

「生理前に夫とケンカになることはしょっちゅうです。きっかけはいつも些細なこと。夫は相当なことがないと物に当たったりしない人ですが、私は生理前になると、ストレス耐性がいつもよりかなり低くなるため、突然キレて物に当たります。そのため、わが家には至るところに、『反抗期の男子でもいるのか?』というくらい、ボコボコと穴が開いています」