お見合いから交際に入ると、仲人を通じて連絡先の交換をし、まずは、男性が女性にファーストコールをする。その電話口で、敬浩は言ったそうだ。

「今、仕事が立て込んでいるので、また連絡します」

そこからパタリと連絡がなくなり、その3週間後にまた1本のメールが来た。

「親父が入院してしまい、休みの日は病院に行かないといけなくなりました。落ち着いたら、また連絡します」

結局、お見合い後に初めてのデートにたどり着けたのは、1カ月半後だった。そのときのことを佳子は、私にこう言った。

「仕事や病院の往復で忙しかったはずなのに、『一度観たいなと思っていた絵画が、期間限定で海外から来ていたので、先日美術館に行ってきたんですよ。本物はよかったな』って。そんな時間があるなら、デートもできましたよね。むしろ、『デートで、絵を観に行ってみませんか?』と、誘ってくださったらよかったのに」

この初めてのデートの直後、佳子は、敬浩に“交際終了”を出した。

敬浩のようなタイプは、婚活市場でよくお目にかかる。こうした人たちは、「自分はつねに結婚のことを考え、高いお金を払って結婚相談所に登録をして、お見合いを1カ月や2カ月に1回はしている、イコール、自分は婚活をしているからいつかは結婚できる」と考えている。

はたから見ればダラダラと婚活しているようにしか見えないのだが、本人の頭の中には、つねに“婚活”と言う言葉があるので、行動はしていないのに婚活をしているつもりになっている。私はこの状態を、 “脳内婚活”と呼んでいる。婚活市場でいくら“脳内婚活”を頑張っていても、永遠に結婚はできない。

期間を区切ることの大切さ

婚活をするときに、心に止めておかなくてはいけないことがある。

それは、“生活圏内の出会い”と“婚活の出会い”は、そもそも性質が違うということだ。生活圏内の出会いは、生活している場所に行くと相手がいて、顔を合わせていくうちに相手を好きになっている。「僕ら付き合おうか」となった時点で、 “好き”という気持ちが、十分に育っているのだ。

ところが、婚活の出会いというのは、相手のプロフィールや顔写真はわかっているが、人柄まではわかっていない。“この条件でこの容姿なら、結婚相手にいいかもしれない”と思って、申し込みをしたり、申し込みを受けたりする。そこで、1時間程度のお見合いをして、交際に入る。

そうした出会いだからこそ、最初に出会い、交際に入ったときが、一番テンションが高い状態なのだ。そのテンションをさらに上げていかなくてはいけないのに、会わないまま時間が経つと、どんどん下がっていく。まだ人間関係ができてないときに下がったテンションは、二度と上がることはない。