KDDIのpovoや、ソフトバンクのLINEMOなど、オンライン専用ブランドが間もなくスタートする。こうした新ブランドが売りにしているものの1つが、eSIMだ。eSIMとは、従来のSIMカードに代わり、端末内部のチップに通信事業者(キャリア)の設定情報を書き込める仕組みのこと。店舗に行ったり、郵送でSIMカードが送られてきたりするのを待つ必要なく使い始められるため、オンライン専用ブランドとの相性がいいというわけだ。

昨年4月に本格参入を果たした楽天モバイルや、格安スマホの老舗としてシェアの大きいIIJmioも、eSIMに力を入れている通信事業者。サービス開始時は物理SIMのみだが、ドコモのahamoもeSIMに対応する予定。

徐々に広がりつつあるeSIMだが、オンライン専用ブランドが成功すれば、既存のブランドにも取り入れられていく可能性が高い。実際、ソフトバンクはサブブランドのワイモバイルでも、3月17日からeSIMでのサービスを開始する予定だ。

アップルは、eSIMに対して積極的な端末メーカーの1社だ。スマートフォンでは、他社に先駆け、iPhoneXSでこれを採用。以降、現行モデルのiPhone12シリーズだけでなく、セルラー版のiPadにまでeSIMを搭載し続けている。eSIMは、物理SIMより手続きが簡単なだけでなく、うまく組み合わせれば料金の節約や電波が届きにくい場所でのバックアップにもなる。オンライン専用ブランドが登場する今、改めてその使い方やメリットを知っておきたい。

真のメリットは「デュアルSIM化」にある

eSIMは手続きが簡単で、自宅にいながらにしてすぐに通信回線を使い始めることができる。手順もシンプルで、契約後に送られてきたQRコードを、iPhoneのカメラで読み取って簡単な設定を済ませるだけ。キャリアによっては、アプリから直接eSIMの設定を書き込めることもあるが、日本国内ではまだQRコードでの設定が主流だ。iPhoneの場合、カメラアプリから読み取ってもいいし、「設定」の「モバイル通信」で「モバイル通信プランを追加」をタップしてもいい。

物理SIMを入れた状態でeSIMを有効にすると、アンテナマークが2段になる(筆者撮影)

とはいえ、手続きが簡易的になるだけだと、恩恵を受けるユーザーは限定的だ。真のメリットは、デュアルSIM化にあるといっていいだろう。iPhoneは、物理的なSIMカードとは別にeSIMを設定でき、eSIMにプロファイルを書き込むと、2回線同時に利用できるようになる。両方とも音声通話に対応している場合、2回線同時待ち受けができ、どちらに電話がかかってきても着信する。ただし、当然ながらデータ通信は、2回線同時には利用できない。データ通信に使う回線は、ユーザーが選択する必要がある。

この仕組みを応用すると、音声通話の安いキャリアとデータ通信の安いキャリアを組み合わせて、毎月の料金を節約することが可能だ。例えば、楽天モバイルの新料金プラン「UN-LIMIT VI」は、1GB以下なら料金がかからない。音声通話も、「Rakuten Link」というアプリを通せば、無料になる。一方で、データ通信は1GBを超えると3GB以下まで980円になり、20GBを超えた時点で2980円まで上がって無制限になる。