桜木先生は、「時代が違う」と言いました。確かにその言葉どおり、今やスパルタや強制的な勉強というのはあまり受け入れられなくなっているものですよね。そんな時代を象徴するような質問を1つしたいと思います。

皆さんがスポーツ選手のトレーナーだとして、選手に2つのうちのどちらかのトレーニングをやってもらおうとします。片方は、「このトレーニングを実践すると必ず効果がある」と考えられているAの方法。もう片方は、「自分にはこのトレーニングが合っているはずだ」と選手自身が考えているBの方法。

Aのほうが、Bよりも科学的には効果が上がるものだと証明されています。ですが、選手は「Bをやりたい」と思っています。はたしてどちらのトレーニングが、結果が出ると思いますか。

AとBのいちばんの違いは「納得感」

これは、オリンピック選手を育てたこともある、陸上の監督から聞いた話なのですが、その監督の経験則では、最近の子はBのほうが効果は上がるのだそうです。理論的にはAのほうがどんなに優れているとしても、自分が納得して努力できるほうが効果は出るとのこと。

このAとBのいちばんの違いは、「納得感」です。自分で考えた、自分が納得して進められる方法と、「本当にこの方法でいいんだろうか」「自分のやっていることは正しいんだろうか」と考えてしまうような方法とだと、やはり前者のほうが有効なんですよね。

勉強においても同じです。東大生の同級生たちに勉強法を聞くと、みんな独自のやり方を答えてくれます。

「自分はここでこんなふうに工夫したんだ」「このやり方をこう真似してこう努力した」と、自分なりに工夫して、自分流のやり方を答えてくれる場合が多いです。自分なりになんらかの努力をして、自分がいちばん納得できるやり方を試している場合が多いんですよね。

もちろん、人から教えてもらったやり方を実践していた、という東大生もいます。でも彼ら彼女らも、よく聞いてみると、理由もわからずそのまま真似していたというよりも、そのやり方を自分なりに解釈して、自分用に改造して、実践しているということが多いのです。「自分が納得できるやり方」を試しているのが東大生の特徴なのです。