目標を与えてもらって、自由にやれと言われたからこそ、それまで教えてもらったことも含めて、「納得」することができました。そうして、僕は偏差値35から脱却して、東大に合格することができたわけです。

結局、人間は「いいからやれ」と言われても、やりたくないと感じてしまいます。それは勉強でもそれ以外のことでも同じだと思いますし、最近はその傾向は顕著なのではないでしょうか。

だからこそ桜木先生は、生徒に「東大」という大きな目標を提示し、そこから先は生徒を信じるということをしてくれました。「自由だ」と言ったからって、それで彼ら彼女らが勉強しないわけはない。そう考えて自由にやらせて、生徒の自主性を引き出したわけです。

もちろん目標もなく、方法もまったく教えずに「自由だ」と言っても努力することはなかなかないと思います。しかし、目標があって方法もわかっているのであれば、あとはきっと勝手に努力します。その中で、「納得」ができるようになっていくのではないかと思います。

「自由」になっても生徒はきちんと工夫をする

いかがでしょうか。

桜木先生が「自由」と言って、東大専科のメンバーはそれでもしっかり勉強をしました。指示されなくても、自分で納得して、「頑張らないと」という気になりました。

同じように、僕も「リアルドラゴン桜」という取り組みで、学校にお邪魔して合宿を行うのですが、「休みの時間も勉強の時間も自由。勉強のプリントだけ置いておくし、何かあったらすぐに声をかけて」と言っています。

多くの人は「それで生徒は勉強するの?」と言うのですが、生徒はけっこう自主的に勉強して、互いに教えあったり、適宜うまく休憩したりして、意外ときちんと工夫をしてくれます。

「強制と服従の時代は終わったんだ」と桜木先生は言いました。まさにそのとおりで、これからは「自由」にして自分で納得していく方式が合っているのかもしれませんね。

著者:西岡 壱誠