例えば、もうすぐ20歳になるぐらいの世代の人たちの多くは、学校の授業の中でLGBTQについて学んでいます。今、小学校では女の子同士が付き合っている例もあると聞きますが、それに対して彼ら彼女たちは、違和感を覚えていない。そういう世代の人たちが、これから大学に入って、社会に出てお金を稼ぐようになり、消費者になる。

そういう人たちに向けた商品がLGBTQフレンドリーをまったく意識していなければ、市場では戦えません。企業がダイバーシティを推進するのは、マーケットのボリュームゾーンがどの方向に動いても対応できるようにしておくためです。

――日建設計の上層部の人たちはそういう発想を持っているのですね。

はい。建築会社はBtoBの取引がメインであり、オーナーのために建築物を作って、それをオーナーがユーザーに分譲します。ユーザーと接することがないので、10年後のユーザーが「この建物には(男女の別なく入れる)誰でもトイレはないの?」という声を今の時点から想像することは難しい。だからこそ、建築会社はダイバーシティに力を入れないといけない。それに、そのことがコーポレートメッセージにもなって企業価値を上げるんです。

女性らしい見た目よりも重要なこと

――はるな愛さんは「楓さんはトランスジェンダーの平均像になろうとしているように見えるが、それではつらいのでは?」と言っています。

当時は見た目や戸籍を変えて「女性である」ということを戦い続けて勝ち得なければと思っていたかもしれません。

でも、今思うのは「女性になる」ことにゴールはないということ。化粧をしても女性らしい恰好をしても、急に女性になれるわけではありません。

また、(見た目が)「かわいい」ということと(自分が)「女性らしい」ということは違うと感じています。そして、「女性らしい」というのは、女性として生活できることだと感じています。女性らしい「見た目」よりも「女性として生活する実感」のほうが大切です。周りのLGBTQの人たちもそう思っていますね。