豪雨、洪水、地震など自然災害が起こりやすい日本。そして「災害が起こるたびにさまざまな不調を訴える患者が増える」と指摘するのが、医師である工藤孝文氏です。直接の被災者だけでなく、テレビや新聞、ネットなどでの大量の情報を見て不調を訴える人もいるといいます。そうした「災害不調」にどう対処すればいいのか。新著『災害不調 医師が見つけた最速の改善策』を上梓した工藤氏が解説します。

災害で受けるストレスの種類は一様ではない

人は災害を経験することで、強いストレスを受けます。災害そのものによるのはもちろんのこと、以後の社会生活や人間関係の変化、持病の悪化など、ストレスの種類も一様ではありません。

災害時に生じる独特な音や揺れは人に衝撃を与えますし、温度の変化や息苦しさを感じた、なども大きなストレスとなります。言うまでもなく、災害時に火災や爆発、津波の様子、倒壊する建物、けがを負った人や遺体などを目撃することも、衝撃的な体験となります。自分自身が負傷したり、身近な人が死傷したりすれば、心身の両方に大きな打撃を与えます。

災害そのものによるストレスが比較的軽かった人でも、災害後に避難所生活を送ったり、転居したり、生活スタイルを変えざるをえなくなったりすれば、それ自体が負担になります。ささいなことであってもそれまでの当たり前を変えなくてはいけませんし、別の人間関係を築く必要があるかもしれません。「被災者」として注目されてしまうことも重荷になります。

直接被災しなかった人であっても傍観者ではいられません。大きな災害となれば、テレビも新聞もネットも、そのニュース一色となります。押し寄せる情報にさらされると、自分が災害を受けたわけではないにもかかわらず、不調を訴えて来院する人が増えます。

今回の新型コロナウイルスの流行でも、連日メディアが感染者数を伝え、医療現場の苦境をはじめとするさまざまなニュースを取り上げています。自宅にいることが推奨されていることもあり、テレビやSNSの接触時間が増えたというのもあるかもしれません。

1回目の緊急事態宣言が終わった2020年5月以降、私の病院には、さまざまな症状を訴える患者さんが来院しました。