各社に7月下旬から8月の夏休み期間の状況を聞くと、予約が積みあがっているのは都市部から近い一部のリゾートホテルに限られるようだ。

外資系ホテルを中心に運営する森トラストでは、軽井沢や白馬、那須などのリゾートホテルの予約が2019年度よりも高く推移しており、一部のホテルでは高単価の食事付きプランの販売比率も高まっている。そのほか、平日もファミリー客のワーケーション利用がみられるという。

プリンスホテルも箱根や軽井沢などリゾートの人気は根強い。中でもコテージタイプの部屋などはお盆期間の9割超が予約で埋まっている。宿泊客は感染リスクを避けるため、ホテルの立地や部屋のタイプも慎重に選んでいるようだ。

星野リゾートも各施設で明暗

他方、星野リゾートでは、夏休み期間は多くの施設が5割前後の稼働になる見通し。2019年の9割近い水準には遠いが、宣言前から地元客の予約が入り、下支えしている構造だ。ただし、都内をはじめ、北海道や沖縄、東北など首都圏から遠く、車での旅行が難しい施設は厳しい状況だという。

需要に乏しい都市部も「リゾート感」は重要なようだ。1400室超と都心最大級の規模を誇るホテルニューオータニでは、夏場の名物であるガーデンプールを利用する個人客が多い。例年なら海外旅行に出かける層なども予約しているようだ。

各社とも宣言の発出や五輪の無観客開催によってキャンセルが続出するような事態にはなっていない。引き続き、宣言下ではファミリー客がゆっくり滞在できる工夫や独自プランの創出が課題になるだろう。また、経営状況は客室稼働率だけでは語れない。コロナ後を見据えれば、極端な値下げをせずに集客する努力も求められる。

昨年来、ほぼすべてのハイシーズンを度重なる宣言によって潰されてきた観光業界だが、今年の夏もどうやら厳しい結果となりそうだ。ワクチン接種が進み、感染者数が落ち着けば、GoToトラベルキャンペーン再開の光明も見えてくるが、それまでは業界全体の正念場が続く。

著者:田邉 佳介