俳優としての活動に比べれば、歌手としての活動は、いまのところそれほど活発とは言えない。ただ、2020年1月に初のソロアルバム「Go with the Flow」を発表し、オリコン週間アルバムランキングで1位を獲得するとともに、東京と大阪でライブツアーを開催したのは大きな出来事だった。このライブでは、「One Chance!」や「夜空ノムコウ」といったSMAP時代の曲も披露して、話題になった。

木村拓哉を一言で形容するとすれば、それは“生粋のプレーヤー”ということになるだろう。どんな分野であれ、彼はひとりの演者として、その時々のパフォーマンスにすべてを注ぎ込む。その類まれな集中力が、今日の彼を作り上げたと言っても過言ではない。

とはいえ、俳優と歌手とでは、プレーヤーとしてのありかたはかなり違っている。俳優が与えられた役を演じるとすれば、歌手には自分自身を演じるという側面が強い。もちろん歌手も歌の世界の役柄を演じていると言えるが、「木村拓哉」が歌う限り、そこには自分自身がさらけ出される。

「Go with the Flow」は、曲調こそさまざまだが、「流れに身を委ねる」という意味合いのアルバムタイトルからも感じられるように、ゆっくりと歩んでいこうという木村拓哉の思いが全体を通して伝わってくるアルバムだ。ソロで出演したNHKの音楽番組『SONGS』(2020年2月29日放送)のなかでも、「ひとりで歌うことには裸になったような無防備さの感覚がある」と語っていた。そんな不安もあるからこそ、いまは一歩一歩自分のペースで前へ進んでいこうということなのだろう。

音楽活動再開の「きっかけ」

ところで、木村拓哉が音楽活動を始める大きなきっかけになったのは、彼のラジオ番組『木村拓哉 Flow supported by GYAO!』(TOKYO FM)(以下、『Flow』と表記)に、ファンから音楽活動の再開を熱望する多くのメッセージが寄せられたことだった。

そしてこの番組と連動しているのが、インターネットの配信番組『木村さ〜〜ん!』(GYAO!、2018年配信開始)である。ラジオのリスナーからのリクエストに応えて木村拓哉が色々な企画に挑戦する。かつての『TV’s HIGH』(フジテレビ系、2000年放送開始)と同様、木村拓哉ソロによるバラエティ番組である。

ここでは、ロケやゲームなどさまざまな企画を通じて、木村拓哉の素の部分が見えるところがまず魅力だ。ファミリーレストランの「ガスト」に行き、コーラや料理の美味しさに感動する姿、ゲストとともに人狼ゲームに興じる姿など、普段あまりお目にかかれない木村拓哉の素の表情を、リラックスした姿とともに見ることができる。

また、思わぬところから面白い展開も起こっている。