これらに共通するのは、本気でやる人がいないようなくだらないことにわざわざ手間暇かけて挑戦するということである。ただし、彼らはお笑い芸人ではない。動画投稿を始めた頃、HIKAKINはヒューマンビートボクサーであり、はじめしゃちょーは一般の大学生だった。笑いに関して、2人とも素人である。

とはいえ、彼らのやっていることは、お笑い芸人がテレビのバラエティー番組でやっていることと本質的には変わらない。例えば、「電波少年」シリーズでの芸人・なすびによる往年の人気企画「電波少年的懸賞生活」を思い出してもらえば理解しやすい。ひたすら懸賞に応募し、その賞品だけでいちから生活必需品を手に入れていくという内容は、普通だったら誰もやらないが、やってみたらどうなるか興味のあることだろう。それを企画化したという点で、いま挙げた2人の動画と共通している。

はじめしゃちょーに「同情」するさんま

しかし、笑いの評価という点では、お笑い芸人はユーチューバーに対して、しばしば厳しい目を向けてきた。その立場を代表するひとりが、明石家さんまである。

さんまとはじめしゃちょーのテレビ初共演となった『さんまのまんま35周年SP』(フジテレビ系、2020年6月19日放送)に、次のような場面があった。

はじめしゃちょーが「芸能界のかたがYouTubeに来たり……」と最近の傾向を語り出したところ、さんまは「これはユーチューバーの人に謝らなあかんねん」と切り出す。なぜなら、YouTubeはさんまにとって「素人の領域」だからである。「だから、そこへプロが参入したらあかんと思ってた」のである。YouTubeが盛り上がるので芸能人の参入は歓迎するとしつつも、一方で「ちょっとヤベえな」と思うと語るはじめしゃちょーに、さんまは「かわいそうやんか」「せっかく素人が開拓してきた場所やのになあ」と同情気味に話していた。

この話題になる前段で、さんまは自分がテレビの全盛期に育ち、テレビに大きな憧れを抱いた世代であることを語っている。そのうえでさんまは、演者の立場から、テレビとYouTubeはまったく別物だととらえている。そして、プロと素人という区別の仕方、「かわいそう」という言い方からは、笑いにおいてテレビとYouTubeは対等ではなく、あくまで中心はテレビにあるという意識が見え隠れする。