具体的には、例えば、次のような葬儀を行った。

・父親が逝去。ミュージシャンを目指していた息子が、実家にいた頃、ギターを弾いているのを聞いていた父親が「いい曲だな」と言っていたことから、出棺の1時間前からライブを行うことに。長男は父親を想って歌を作ったことがあり、それを歌い、家族全員が涙を流しながら送り出す。

・逝去した父親へ家族全員で作文を書こうということに。原稿用紙を買い、それぞれの家族が父親との想い出にふけりながら、時間をかけて書きあげる。作文を読み上げる順番は、母親の「お父さんが決めてくれるから」とのひと言でくじ引きに。最後は母親となり、「くじ引きでも理想的な順番になった」ことに保坂さんは運命的なものを感じたそうだ。

・星を見ることが大好きだった母親が逝去。遺族は通夜を外で行うことを希望。広い庭があり、晴天だったので、庭で通夜を行うことに。家族みんなで空を見上げ、「母さんには、もっとたくさんの星が見えているんだろうね」などと語り合いながら、夜遅くまで過ごす。

このように葬儀場ではなかなかできない、それぞれの家族ならではの送り方をできるのが自宅葬の特徴だ。

自宅葬を選ぶのはどのような遺族なのか

自宅葬専門葬儀社2社の自宅葬の特徴などについて見てきたが、では、自宅葬を選ぶのはどのような遺族なのか。

最も多いのは在宅医療を行った遺族で、その割合は両社とも施行件数の約7割だという。

「最期は自宅で迎えたいという日本人は、半数を超えていますが、現実は1割程度です。自宅で最期を迎えるには、強い意志や覚悟が必要なわけです。強い意志を持って在宅医療を選ばれた遺族が、葬儀も自宅を選ばれることが多いです」(鎌倉自宅、馬場さん)

「自宅葬を行う人は、家族そして家を大切にしている遺族が多いです。とは言え、家族が自分で看取るというのはつらいものがあります。その覚悟を決めた家族が自宅で看取り、葬儀も自宅で行いたいという遺族がほとんどです」(燈、保坂さん)

鎌倉自宅によると、在宅医療を行った遺族以外で自宅葬を選択するのは、過去に遺族として葬儀を経験したが、形式的で慌ただしく、葬儀が終わった後に、何をやっていたのか思い出せないという経験をし、満足できなかったので、今度は自宅葬を選ぶという遺族がいる。

そのほか、若くして病気で亡くなったり、自死だったりした場合に、葬儀は身内だけで行いたいということで自宅葬にするケースもある、という。