その日から毎日LINEのやりとりをするようになり、どんどんひかれていったという。
翌週も翌々週もデートをした。まだコロナ前だったので、3回目のデートは深夜にまでおよび、結局、タクシーで孝徳のマンションに行った。彼は会社近くにワンルームマンションを借りていた。

「その夜男女の関係になったら、ますます私の気持ちが入ってしまいました。それに自分の家に私を呼ぶくらいだから、そのときは結婚しているなんて疑いもしなかったんです」

最初に年齢詐称がバレた

清美も一人暮らしだったので、次第にお互いの家を行き来するような付き合いになった。しかし、どちらかといえば清美の家で過ごすことが多かった。

「家には寝に帰っているようなもので、料理はまったくしない」という彼の家の冷蔵庫には、お茶とビールくらいしか入っておらず、キッチン用品も調味料もなかった。

あるとき、土曜出社していた孝徳が清美の家に帰ってきて、「1日中外にいて大汗をかいた」と、シャワーを浴び始めた。床に脱ぎ捨てられたジャケットをハンガーにかけようとしたとき、ポケットから2つ折りのカードケースが落ちた。拾い上げたときに免許証が見えた。免許証の顔写真の写り具合が見たくて、何気なく引き抜いた。

「免許証の写真って、だいたいヘンな顔で写っているじゃないですか。どんな写り具合か見て、笑いのネタにしようと思ったんですね。案の定、指名手配中の犯人みたいな顔をしてたんで、吹き出しちゃったんです。で、そのとき生年月日がふと目に入って……。私より2つ下のはずが4つ上だったんです」

笑っていた顔が凍りつき、免許証をテーブルの上にバンと置いて、孝徳がバスルームから出てくるのを待った。怒りが込み上げてきたが、同時にザワザワと嫌な予感もした。何も知らず、パンツ一丁でバスタオルで髪を拭きながら出てきた孝徳に、「これは何?」と、免許証を突きつけた。呑気そうにしていた顔が一瞬で固まった。

「えっ?」

「私の2つ下って、4つも上じゃない? どういうこと?」

「ご、ごめん。どっかのタイミングで言わなきゃって思っていたんだけど、なんだか言いそびれちゃって」

婚活パーティは、入り口で身分証を提示してから参加するのがルールになっていた。彼はその日、会社の後輩から借りてきた保険証を提示したのだという。保険証には写真がないから、後輩のものかどうか受付の人は見分けがつかない。また実際のところ、孝徳は34歳で通るくらい若く見えた。

「40のオジさんが婚活パーティに行ってもモテないと思ったし、そもそもあのパーティは30代限定だったから」

その発言を聞いて、清美は怒り心頭に発した。そして、年齢を詐称していたのだから他にも何か隠しているのではないか、問いただした。