ここで、なぜ銀行がこぞって手数料引き下げに走っているかと言えば、銀行間決済のベースになる「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」の手数料が見直されることになったからだ。銀行間で送金し合う際の手数料は3万円未満117円、3万円以上162円と固定されたまま、40年間も見直しされてこなかった。各銀行はこの数字に自行分の手数料を上乗せして、これまで振込手数料を決めてきたわけだ。

しかし、それが10月に変更される。全国銀行協会は現行の手数料を廃止し、新たに「内国為替制度運営費」を新設、金額は1件当たり62円とした。銀行はそこにいくら乗っけるかで、今後の振込手数料を決める。上記のように今の最安値競争は75〜86円だが、スマホアプリで完結する新興デジタルバンクだったら70円台前半もありうるかもしれない。

40年間も動かなかったのに、なぜこのタイミングで引き下げなのか、という理由は「お上」の意向による。もともと、銀行間の振込手数料がまったく見直しされてきていないこと、過去に金額交渉された形成がないことを問題視した調査報告書を、2020年4月に公正取引委員会が出している。背景には、この手数料の高止まりが日本のキャッシュレス決済化進展の妨げになっているのではとして「お上」が横やりを入れたわけだが、深くは触れないでおく。

どんな条件を満たせば無料で振り込めるのか

さて、銀行利用者としては振込手数料が下がるのは歓迎だが、各行は取引状況に応じて「無料で振り込みができる回数」を定めている。どんな条件を満たせば無料で振り込めるのか、メガバンクと主要ネット銀行で調べてみた。

まず、3メガバンクの場合。各行はそれぞれ取引状況に応じた優遇ステージを用意しているが、このところ優遇条件の改定がたて続いているので、利用者は再確認したほうがいい。

7月に「メインバンクプラス(スーパー普通預金)」を改定した三菱UFJ銀は、最高で月3回まで無料で他行あての振り込みができるが、その条件は「給与(10万円以上)・年金の受け取り」が必要(紙の通帳からeco通帳に切り替え済みなら、振り込み1回まで無料となる。いずれもダイレクトバンキングの場合)。

みずほ銀行の「みずほマイレージクラブ」は2020年3月に改定済みで、その際に他行あて振込手数料の無料回数を「取引状況に応じて月1回または月4回まで」から「取引状況に応じて月3回まで(ネットバンキングでの振り込み)」に変更した。さらに、対象になるのは最上ランクのSステージのみで、「資産運用商品残高100万円以上(あるいは自行ブランドのクレカやJCBデビットの利用が年間100万円以上)、または住宅ローン等の借り入れが必要とのこと。利用できる人はかなり限られそうだ。

最後の三井住友銀「SMBCポイントパック」は、無料振り込み回数はナシ。ただし、ダイレクト(ネットバンク)にログインしたり、デビットカードを使ったり、ATMを利用したりすると貯まる「Vポイント」(SMBCグループ共通のポイント)を振込手数料に充当できる。三井住友カードで貯まるVポイントと合算できるのは便利だが、ちょっと地味だ。