果たして双子パンダには、どのような名前が付くのだろうか。上野動物園の歴代のパンダは「シャンシャン」のように繰り返す名前だが、ほかの動物園では、そうでない名前も多く、実に多彩だ。

2020年3月17日に中国・四川省の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地で生まれた双子のパンダには食べ物の名前が付けられた。武漢の名物料理「熱乾麺」(ルーガンミエン)と、成都の名物料理「蛋烘糕」(ダンホンガオ)だ。同年2月頃は、新型コロナが武漢を中心に猛威を振るっていた。双子パンダの名前には、この出来事を忘れないようにしようという思いや、医療従事者への感謝の思いなどが込められている。

オランダのアウエハンツ動物園で2020年5月1日に生まれた雄のパンダは「ファンシン」(梵星)と命名された。「梵」はオランダの芸術家、ゴッホの中国語表記「梵高」に由来する。「星」は父親の名前「シンヤー」(星雅)から取った。

フランスのボーバル動物園で2017年8月4日に生まれた雄のパンダは、「夢の実現」を意味する「ユアンモン」(圓夢)と名付けられ、命名式にはフランスのブリジット・マクロン大統領夫人らが出席した。一方、ドイツのベルリン動物園で2019年8月31日に生まれた雄の双子のうちの1頭の名前は「モンユアン」(夢圓)だ。

ドイツのベルリン動物園で生まれた双子のモンシャン(夢想)、モンユアン(夢圓)と母親のモンモン(夢夢)(2020年2月9日筆者撮影)

フランスの双子にかわいいニックネーム

幼いパンダに幼名やニックネームを付けたり、中国から来たパンダに日本での名前を付けたりすることもある。

前述の「熱乾麺」の幼名は「平平」(ピンピン)、「蛋烘糕」の幼名は「安安」(アンアン)だ。偶然かもしれないが、「平平」と「安安」は、中国が1950年代にロシア(当時はソビエト連邦)のモスクワ動物園へ贈ったパンダの名前と同じ。モスクワ動物園のパンダのアンアンは、日本のマガジンハウスが発行する雑誌「anan」の名前の由来になった。

フランスのボーバル動物園で2021年8月2日に生まれた双子の雌のパンダは、生後間もなくニックネームをもらっている。「フルールドコトン」と「プティットゥネージュ」で、それぞれ「綿花」と「小雪」を意味する。白くてふんわりしたイメージが、赤ちゃんパンダによく似合う。フランス語のためか、おしゃれで、かわいらしい印象も受けるニックネームだ。

上野動物園で生まれたシャンシャンと双子の両親は中国生まれなので、中国名がある。雄が「ビーリー」(比力)、雌が「シィエンニュ」(仙女)だ。2頭は10年前の2011年2月21日に中国から来園。同年1月2日〜23日に上野動物園が日本での名前を公募した結果、雄は「リーリー」(力力)、雌は「シンシン」(真真)に決まった。リーリーは活発で力持ちのイメージ、シンシンは純真・天真などの優しいイメージがあるのが理由だ。

上野動物園は、この名前を3月22日の一般公開と同時に公表する予定だったが、「早く新しい名前に親しんでもらえるように」と3月9日に公表した。その2日後に東日本大震災が発生して、上野動物園が3月17日から休園したため、2頭の公開は延期。再開園した4月1日に公開となった。