大手工作機械メーカーで管理職として勤務する片野大輔さん(40)も2018年に完走(7日12時間12分、13位)、今夏のTJARにも出場した。

走り始めたのは20代後半。ダイエットが目的だった。

「長期出張が多くて、出張のたびに現地で酒を飲んで……を繰り返していたらあっというまに太ってしまった」

「ランニングならシューズさえあれば1人でできる」という理由で走るようになった。その後、アメリカに5年間赴任。アメリカでもランニングを続け、フルマラソンを完走。日本に戻るとマラソンがブームになっていた。

通常、マラソンレースは何カ月も前にエントリーする。出張が多かった片野さんは、短いスパンでエントリーできるものを探し、見つけたのがトレイルランニングのレースだった。長野県の80㎞のトレイルランニングのレースにエントリーし、完走した。

トレイルランを通じて知り合った仲間と山に行くようになり、TJARのことを知った。日本アルプスに行くようになったのは2017年からだ。

「山仲間がTJARを目指していて、そういうレースがあると知りました」

ほかのレースにはない熱さを感じた

片野さん自身は強い気持ちでTJARを目指していたわけではなかったが、せっかくアルプスに行くのならと参加要件を満たしたことで、2018年大会にエントリー。

「本戦に出たいというよりは、予選に出てどれだけ過酷なのか興味があった」

選考会と抽選を通過し、本戦出場が決まった。片野さんにとってTJARは「マラソンやトレイルランなど数あるレースの一つ」だったという。実際に出場してみると、ほかのレースにはない熱さを感じた。

「TJARはレース中、ほぼほかの選手と会わないのに、なぜか強いつながりができる。(選手が)30人に限られていることもあるけど、選手どうしや、実行委員との距離が近い。危険なことを一緒にやると恋が芽生える、みたいなことあるじゃないですか(笑)。究極の状況でゴールを目指す、という、みんな同じような体験をしているのは大きいと思う。あと応援もすごく熱さを感じました」

TJAR2018のスタート。8番が片野さん(写真:金子雄爾)