「10代の若者が数百万円の借金をする」ーー。今多くの若者が大学に進学するために「奨学金」を借りるが、”子どもの判断力”で借金をした結果どうなるかは、意外にあまり知られていない。

学歴社会において「大卒」という肩書きが必須となっている以上、学生目線では「借りないわけにもいかない」という現実もある。「そもそも大学の授業料が高くなっている」「学費を担ってきた親側におしよせる、可処分所得の減少」など、親たちの経済事情も刻々と変わっている。

そこで本連載では、奨学金を実際に借りた当事者たちに取材。「借りたことで、価値観や生き方にどんな変化が起きたのか?」。彼らのライフストーリーを追っていく。

「物わかりのいい2番目」ゆえ240万円借りた女性

「本当に、私の話なんかでいいんですか? 金額もほかの人と比べて多くないし、返済も普通にできていますけど……」

取材場所である、渋谷ストリームに入るコーヒーチェーン店に現れた山岸瞳さん(31歳/仮名)は、席につくやいなや、そう言った。不安げな瞳が筆者に向けられており、先程の言葉が決して表向きではなく、本心から発したものだとわかった。

「もちろん大丈夫です。この連載は、奨学金を借りたことを、ひとつのライフイベントとして捉え、生き方や価値観にどんな変化を及ぼしたか聞いていくものなんです。家や車を買ったりすると、その後の価値観や生き方が変わることって珍しくないですよね?」
「そうですね」
「18〜19歳の若者が、数百万円の借金を背負うことも、同じように重大イベントじゃないかって思うんですよ」

筆者が改めてそう伝えると、瞳さんは「わかりました」と微笑んだ。インタビューの内容は事前に伝えていたものの、改めて確認するあたり、生真面目な人柄なのだろう。

そんな彼女はどういう経緯で奨学金を借りることになったのか。尋ねると、返ってきたのはこんな言葉であった。

「それはたぶん、私が“物わかりのいい2番目の子ども"だったからだと思いますよ」

聞けば、3人きょうだいの中で、奨学金を借りたのは彼女だけだと言う。